( 呂不韋 作画引用:原泰久先生 作 キングダム第648話 )
太后が呂不韋にぞっこんだったのが今なら何だか分かる気がする。
顔がイケメンとかそんな表面的な魅力ではないのは当然で、実に懐が深いです。
人間の愚かさや業を否定せず、そのまま集めてしまって利用できる度量を持つ政治家は、キングダムでは終ぞ呂不韋しか現れなかったことになるでしょう。
自分だけ欲望のまま貪るケッ氏や郭開などとは比べるまでもない大物です。
丞相VS宰相というコトで李牧との対談をはたした時も、おそらく政治家としての交渉力と判断力という意味で、李牧ですら終始、議論の主導権と落としドコロを呂不韋に握られていたままでした。
キングダムの作品中では、他に類を見ないほどのスケールの政治家であり、文化人でもあった呂不韋。
その文官としての存在感は、格付けの上では遥かに上位に君臨するはずの戦国四君であった春申君などよりも大きかったと思います。(※基本的に春申君は悪態をついてキレるだけのキャラだったので…。)
そして今回のキングダム、たった一話で秦国の政争編の全てを完全総括してしまったと言ってもいいほどの非常に完成度の高い神回だったんじゃないでしょうか?
おそらく、今回を超える政争面を描画する回が今後のキングダムで描かれることは無いかと思います。
可能性で論じたら成長した李斯が韓非と会合を果たした以降に、キングダム論じる法治国家制度の核心にやっと迫るくらい話が進んできてからの話でしょうか?
何は、ともあれ今回の呂不韋…。
私をはじめ多くの読者様が懸念していた嬴政コレからの課題について、全て的確な意見を残して物語から去っていきました。
彼らしく、最後まで見事に人を食った男でした。
うーん?最後の最後は、大后とロウアイの子供が死刑にならずに国外脱出していたことがヒントだったんだな…。
キングダムネタバレー呂不韋、お変わりなく。
昌文君とシ氏が大慌て。
でも大王様の独断で会議は中止。
で、なんでお前たちだけがそれを知らない?(笑)
政としては昌平君とシ氏が自分の行動を知ったら「どうせ止めるしメンドクセェな…w」とでも思ったのでしょう。
すでにその人は呂不韋の前までやって来ていました。
呂不韋『お久しゅうございますなァ、大王様』
先に会話のし始めたのは呂不韋です。
鄴攻めの大業を成し遂げた後の嬴政を当然知るワケですが、先ずは昨今の秦国の功績と間近の苦労を語りアイスブレイクし始めます。
『お前は変わってないな呂不韋。』と語る政。
なんのことかと思って読み進めていると、政が語っているのは呂不韋の目の光のことでした。
曰く、『蘄年宮で俺に負けを認めたままの目をしている。』とのことです。
政の言葉は本質をスグに見抜きます。
彼の返しのお陰で、読者としても今回の呂不韋を筆頭とする河南の動きは、完全に大王政にむけた、内乱や政争再開に向けたモノではないコトが一気に明確化します。
政の『下らぬ化かしあいはよせ。』との言葉からも今回の一連の流れは、呂不韋としては政との今回の会談を実現するための仕掛け過ぎなかったことが分かります。
しかし、ここまでは私や多くの読者様の予想通りだったと思いましたが、これが単純に呂不韋個人の統率によって起きた流れであるワケではないことも、ここで分かってきます。
当ブログとしても、こんなに単純に勢力化を咸陽に感知されてしまうような真似を呂不韋がやるにしては不自然であると論じましたが、そのことも政本人の口から吐露されて、呂不韋が自分で咸陽からの暗殺指令を誘発させているだけでしかない現状を端的に指摘しています。
ただし、呂不韋もやはり負けてはいません。
『ほー、それは恐ろしい。はっは、その苛烈さシ氏あたりですかな?』などと、
いつもの分かり切った内容のセリフを、芝居じみた風格を滲ませながら話出しています。
こういう所は、李牧との会談のころから全く変わりありませんね。(笑)
政は、端的に河南の不穏勢力の鎮静化を促そうとしますが、ここから呂不韋の切り返しにて、今回の物語の本題に突入していきます。
勢力の鎮静化を語る政に対して、先ず、一点の誤解があるコトを確認する呂不韋。
キングダムネタバレ-会談の本題
曰く『随分と簡単におっしゃる…(中略)…咸陽は私が連中をたきつけていると思っているかも知れぬが、逆にコレでも随分を抑え込んでいるところだ…。』
『それでも人が人を呼び、そして秘めたる怨念を返すトキのための準備をしている…。』
『終わったと思っても終わっていない。』
『かつての内乱の平定ですら、思う以上に難しいというコトです。』
『これが“中華”となればやはり想像を絶しますぞ…。』
呂不韋はここで本質を全て語り切っています。
まさしく読者の殆どの目が、鄴攻め以降の対外目線であった今だけに余計に心に刺さります。
そして、それは嬴政自身の珍しい盲点であるコトにも気づかせてくれました。
いつもは本質を見誤らぬ嬴政ですが、ここではあくまでも河南に限った話であると論点を再整理しようとしています。
結果論として、呂不韋の意図が何であれ、河南の鎮静化に失敗すれば呂不韋の命が危ないと警告しに来たハズなのに、ここから逆に呂不韋からの提言が始まっていきます。
『性懲りもなく反乱の徒が湧いて集まる原因は私(呂不韋)ではなく…、貴方に問題があるのです大王。』
「何ィ」とか政が驚いていますが、おそらくほとんどの読者は予想がついている内容だったでしょう。
端的に言えば、呂不韋は政が自分などの政敵を殆ど殺していない点をここで強調してきました。
曰く、『あなたは優しすぎるのです。』と、
『その優しさは大王様の武器でもあるが、先々、唯一の弱点と成りますぞ…。』
『ゆめゆめお忘れにならぬように、コレが呂不韋の最初で最後の進言です。』
そして、呂不韋は、かつて蘄年宮での舌戦について思い至ります。
本当に、アレは自分の負けであったのか?と。
政争そのものは大王である嬴政が呂不韋を下しましたが、理想社会の建設には果たしてどちらの理念が正しかったのかまでは、政が本当に中華統一を成し遂げるまでは分かりません。
今いちど、呂不韋は政に向かって問いただします。
『今も、人の正体は“光”だと信じていますか?』
政『勿論だ。』
そして―、
不意に、そこから政を優しく包み込む呂不韋がいました。
子供に対する父親の様に…。
キングダムネタバレ-最後まで悠々たる態度
その後―、
河南の地の鎮静化を約束した呂不韋ですが、嬴政の咸陽帰着後も、一向に河南の勢力化が止まりませんでした。
呂不韋の約束は何だったのか?
ここで呂不韋を死刑にするための嬴政の決断を促す芝居だったのか?
さらに、河南の地を呂不韋から没収するために最終勧告として彼に命令書を送るに至った咸陽は、最悪の展開として呂不韋が不従を示せば、河南の領地そのものを標的とした内戦も覚悟しなければならない状況までひっ迫してきました。
河南からの伝令、咸陽の命に対する是非はどうだったのか??
王宮の全員が予期せぬものでした。
服毒による呂不韋自殺―。
この情報は、多くのキングダムファンの史実好きが知るトコロですが…。
ホントに呂不韋が史実通り死んでしまったように受け止めざるを得ませんでした。
ここまでのページまでは…。
うん…?
もしかして政の事ですよ?
ほら?あれ、羌瘣が女だって公開された時のコト思い出して下さいよ??
政『気付いたというか、知ってた。』(参照:93話)とか言ってましたよね。
呂不韋のコト…、この時点でもう、ホントのコトを知ってた(バレてた)なんてオチは在りませんかね??
雪の中を馬車が一台進んでいきます。
多分、つーか絶対にアノ人ですよね。
死体が別人って、はて? 今回もキングダムはニセ沢太に則られたリアル沢太さんと同じように、全く知らない第三者の死人が非常に役に立ちましたか。
偉いぞ、今回も見知らぬ死人になってくれた人。
いや、バレる事も愛嬌として計算済みってアンタ?
そうなると、政を河南にやってこさせた真の目的は、こうやって自由にリリースさせてもらえるように、敵意の全くない目を政に見せるために仕組んだってことなのかよ?
金持っているだけでなく、貧乏にも強いのな。(笑)
ラストの煽りの『流浪の路は永遠に続く』って文言…、
なんか呂不韋がメチャクチャ長生きして、そのうち徐福とか名乗って日本にやってきそうに思った。
なんにせよ!キングダムの呂不韋って自殺するような人間じゃないよね。ってトコロだけあたっただけでも十分嬉しかった
で、そして次号は!?
きゅっ?休載っ…?…だと!?
まあ、それでも、今回なら区切りがいいか。(笑)
― キングダムネタバレ最新648話 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
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Twitter:しんいち ダム垢(@takikomigohande)