(堯雲 作画引用:原泰久先生 作 キングダム第609話 )
心臓が止まりかけであれば、王賁は馬に乗って移動するのが精一ぱいどころか、先ず意識が戻るかどうかすら微妙だったでしょう。
しかし、それでも前に進むライバルを見て、前回まで調子の上がらなかった信が奮起し始め、結果的に彼も堯雲に接近しつつあります。
また、右翼方面の戦闘に関しては、この後に出てくる龐煖や羌瘣、弓矢兄弟に、後方に下がった馬南慈、亜光軍の亜花錦やらの様子など、描かなければならない他の戦況もたくさんあるのですが、このように羅列してみるとネタの仕込みがカナリ横に広がりすぎています。
神(作者)としても一つずつ描いていくしかないので、先ずしっかりと現在の戦いをしっかり観察するしかありません。
今回の609話では、“中華のうねり”と表現された藺相如の時代論が堯雲から聞かされて、先に王賁に話があるとも言っていたので、藺相如の最後の遺言を先に言っちゃうのかな?と少し期待したのですが、結果的には彼の個人的な意見が話されたされただけで終わりました。
しかも、その意見も今さら「中華が一つになろうとしてる…」だのといった話なんですが、いや?秦国は最初からそのつもりで戦争してるんだから、いったい何回、同じ話するつもりだ!?という停滞感がハンパないです。(笑)
ただ、それでもここで堯雲から秦王政の存在を引っ張ってきたのは、明らかに主であった藺相如が求めていた、中華戦国の解として求めていた何かが、徐々に答えとして顕在化しつつある状況に複雑な喜びを感じているとの裏返しのようにも取れます。【もう、どちらの味方なのか…(笑)】
わざわざ十槍の皆さんに王賁をスルーさせてまで、自身の元へと来させた堯雲ですが、それは自らの手で標的を確実に抹殺したいが為なのは分かります。
そして堯雲としては、その後の信との対戦も想定しているのでしょうが、この点、正直に言って彼にとって見通しが甘い無理のある状況設定が出来上がってきています。
実際に信が真近に迫ってきている点も含めて、戦術面だけでマジレスすると、そもそも趙軍左翼は堯雲軍だけが孤立しているので、秦軍右翼で包囲喰らって全滅する可能性が非常に高いからです。
同時に、頼みの十槍も周囲に戦力分散させているので、指揮も全て死手になっています。
その反証であるように、神(作者)としては今回も信と王賁のステータスを下げまくって、作品のパワーバランスを維持することに徹底注力しているのもよく分かります。
ややもすれば上述の様に、「堯雲、もう勝つ気ないだろ?」とも取れる無理な戦隊指揮が表すものが何なのか?
この朱海平原の戦自体が、彼にとって純粋に趙将としての戦いであったものから、既に別の意味の戦いに変わっていると捉える事が出来ます。
8月1日発売ヤングジャンプ、キングダム第609話について検証と考察を進めます。
キングダムファンの皆様、今週もよろしくお願いします。
キングダムネタバレ-仲間の奮戦
ネタバレ検証-関常隊 対 十槍の決戦
14日目の戦闘で関常隊が出てきていなかったので、少しでも彼らの体力回復が図られていればと期待したのですが、今回の609話を見ている限り、それほど回復していないどころか、いきなり消耗し切っているようにも見えます。
宮康の仇だとカナリ戦意が高まっていた関常と松琢ですが、彼らもまた容易には戦果が遂げられる状況にはなっていません。
前回の予想記事でも想起したように、やはり彼らの相手として、十槍の一番手である田豊が出張ってきました。
第585話で十槍にはそれとなく強さの序列があることが語られており、他の四番槍と五番槍の相手を含めて、一手に関常と松琢が戦う様子が描かれていますが、彼らが健在でなければ玉鳳隊も戦果どころか損耗の方が上回りそうです。
王賁が乱戦の中、自ら突き進む中で、関常が「止めて聞くような男じゃない!」と王賁のサポートを番陽に促しているあたり、コレはコレで彼らなりの信頼関係のあり方のように見受けられます。
上述の通りの一番槍 田豊ですが、さすが一番槍の十槍だけあって単騎で玉鳳隊を苦戦させます。
他の十槍の面子より、かなり落ち着いた趣きがある点も、十槍の筆頭に相応しい実力の持ち主であると思われます。
608話から堯雲としては、王賁と共に信の居場所も捜索していましたが、図らずも王賁の方から接近を測ってきたため、思いがけなく先の遭遇を果たした二人です。
捜していた側はともかくとして、王賁には無理に堯雲との勝負にこだわる理由はないのですが、それでも〝王家を継ぐ者の責務〟のままに攻め進むのが王賁という漢です。
そしてこの点、指揮や連携で堯雲を仕留めるでなく、あくまでも立会いでの勝負で描かれるのが、やはり本作品らしい所でしょう。
信から見ても彼が無理を押して前に進むからこそ、玉鳳隊の皆も勢いを取り戻しているのが良くわかります。
考察-飛信隊が主導権を握る
十槍などの強者がいる局面で、予想通りの味方の苦戦が描かれている反面で、その他の玉鳳隊隊士や渕さんが指揮する飛信隊の戦線では、優勢となる局面もしっかりと描き分けられている点は、神(作者)のパワーバランスの取り方として非常に絶妙です。
戦局的なネタバレ予想としても、一騎打ちの決着がついた瞬間から、趙軍左翼を一気に崩壊させるための準備描写が完成しつつあるように思えます。
さて、信の様子ですが、前回では傷の重さそのものよりも、趙峩龍との戦闘での体力の消耗が相当応えていたとの描写があったのですが…、
「一昨日死にかけていたのに…、とんでもねェ バカだな、お前も!」
とばかりに、王賁の姿に触発される形で徐々に本来の調子を取り戻しつつあるような、補正効果として描かれているようにも見えます。
この先の対龐煖戦においての調整描写と考えるのは早急でしょうか?
いずれにせよ信の復調が無ければ、この先の李牧本軍への横撃にも決め手を欠くことになる為、どこかで回復軌道に乗ることが予想されます。
キングダムネタバレ-堯雲と王賁
対面した堯雲と王賁ですが、スグに対戦に入ることにはなりませんでした。
心配する部下に、「俺を信じろ」と伝える王賁。
堯雲もまた、矛を交える前に王賁に話があるコトを部下への指示に含ませていました。
そして、一見寡黙そうに見えて、実にお喋り好きな堯雲ですが、別段それは今に始まったコトじゃありません。
こうして好き勝手ベラベラ喋ってくれている間に、王都奪還編の信vs左慈のトキのように、王賁の体力が復活した…。ってことにはならないですよね。
心臓が止まりかけの状態であれば、王賁は本来、意識すらハッキリしない状態でもおかしくありません。
堯雲が話しかけてきても、朦朧としていて、「あー」とか「うー」とかしか言うことができない…。となっても仕方がなかったハズですが、会話の受け答えが出来ただけでも彼は非常にタフでした。
なので、逆に考えてみれば、心臓が止まりかけなのに、ここまでの身体活動を発揮できる底力が凄まじいと言えるでしょう。
ネタバレ検証-明確になりつつある藺相如の最後の遺言
堯雲の狙いとしては、趙峩龍を仕留めたのが信であるコトが分かっていただけに、自分は15日目当初からもう一人の脅威である王賁と向き合うほうが良いと判断していたに違いありません。
今は亡き主、藺相如の偉大さを誇示しつつ、当時と現在と比した二つの“中華のうねり”について、王賁の立場の重要性を問いただしてきた堯雲ですが、ここで自身の視点と立場からも一歩踏み込んで、秦王 嬴政の出現の重なりにまで言及してきたことが非常に印象的でした。
読者に対しても、暗に藺相如の最後の遺言が何であったのかの輪郭がある程度浮かんできたように思えます。
本来、敵であるハズの王賁や信、その背後にいる嬴政に何か期待するような素振りも明確に見せつけているからです。
考察-信を認め、李牧をバカにする堯雲
始めて信と会合したときと比べて、今回の609話では、彼の実力を「厄介な男」とまで表現するほどに認めた堯雲です。
ファンとしては、「たまたま矛を受け取っただけの男だ。」などと吹っ掛けた序盤戦の因縁も、これならなんとか濯ぐことができたと捉えてよいのでしょうか?
信が迫っている事実をきっかけに、609話のラストの場面で、再び堯雲は左手に握りしめた矛を振るい始め、王賁もまた心臓の過重な負荷を認識しながら戦闘態勢に突入します。
この最後の場面で重要な点なのですが、堯雲は、嬴政ともに信や王賁の時代が来ようとしていることを認め、同時に李牧様の時代でもあると、今の総大将を持ち上げる発言を残していながら…、
やはり最後には純粋な意味で、現在の事実おいての李牧の配下であるコトを選ぶよりも、『藺相如の刃』であるコトを優先させている点に堯雲という男の本質があるように思えます。
本記事の冒頭で触れたように、すでに彼は趙軍左翼将としての役割を果たすことよりも、藺相如の遺言を実行するために行動しているのは明白です。
見方を変えれば、何が「歴代最強の三大天李牧様。」(参照:550話)なのでしょうか?(苦笑) 真面目な反面で、李牧のコトをバカにしているようにも思えてきます。
そして、この点で李牧が完全に性善説丸出しで左翼の戦況を信じ切っているあたり、彼の人の良過ぎな点について、なんとも言えない気持ちになってきます。
キングダムネタバレ最新第609話 中華のうねり 考察 以上
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
皆さんの予想やコメントもいただけると嬉しいです。どうぞお気軽に。
Twitter:しんいち ダム垢(@takikomigohande)
前回の予想⇒【キングダムネタバレ最新予想609話 王賁と弓矢兄弟で堯雲十槍を始末。】
次回、第610話の予想⇒【キングダムネタバレ最新予想610王賁対業雲の勝負は明確】