( 司馬尚さん 作画引用元 原泰久先生 作 キングダム790話)
原先生ありがとうございます。
ようやく見たいものが見れて、僕も満足しました。
今回のキングダム。
李牧が青果(青歌)にやってきて、司馬尚と何を話したのか?
李牧が青果住民に何を語りかけたのか。
話の急所であるのは、流民の街からオルド軍を撃退できるほどの自治国家に成長した青歌が、自国都市国家としての警備だけでなく、趙という領域(連合)国家の防衛に貢献する役目を買って出るように仕向けられた。
というトコロなのですが…。
この点、専守防衛に躍り出たサイ攻防戦のサイの民とも、紀彗が率いた離眼とも、彼らの参戦の動機が、似てるようで違う部分があることは非常に興味深いです。
健気に、李牧の言葉を信じた、青歌の民の根性は、非常に見上げたものであるのは確かなのですが…、
司馬尚始め、青歌の彼らは、自分達と同じように李牧の言葉を信用して参戦した赤麗や狼孟の住民たちが、その後、李牧に切り捨てられて一体どうなったのか?(合掌)
当然、この時点の彼らでは、それらの結果を全く知る由もありません。
李牧は涙を流しながら、青歌の住民たちに向って…、
『あなた方は自分達さえよければ、他はいいという生き方を選択し続けていくのか?』と問いかけています。
これはこれで、感動的な場面ではありますが…、
正直、微妙だと思わせる心象も残るのは事実です。
李牧は李牧で、一見、青歌の住民たちに真実を語っているようにも見えて、実は、少しばかりの“嘘”も交えている事と…、
青歌の彼らに教えてはいない、秦の統治に関する事実が隠されている事も忘れてはならないからです。
李牧的には、趙の国民全員が、秦に一方的に殺戮を受けているみたいな事を言っていますが、、。。
秦に開放されて、今は李斯達が統治している鄴や遼陽。。
更には、最前線の平陽や武城含め、元趙の住民たちが、むしろ生活水準を向上させて暮らしている様を青歌の住民たちが見たらどう思うでしょう?
また、六将が編成されてからは、桓騎軍ですら軍属以外の住民を虐殺した記録等もキングダム本篇には、最早、残っていないのですが…、
李牧が語る『私たちが幾多の城邑の民達を秦軍に襲われ殺され続けないように戦って来た。』という発言は、明らかにポジショントークであり、実質、青歌の住民たちへの印象操作であるのも間違いないのではないかと考えます。
もっとも、李牧としても当然のことながら、上記のように、青歌の住民たちへ、趙と秦の生活を比較衡量する為の、情報を開示して判断を迫る訳にはいかない事も理解できるのですが…、
正直言って、李牧が住民に提案した、“不戦か参戦かの二者択一的な判断基準”は、はたして本当に青歌の住民にとって、フェアであったのか?
この住民への提起の仕方含めて、やはり李牧は、どれだけ大人物であっとしても…、
あくまでも民を兵士として利用するための“武将”の一人に過ぎないのであって、政治家や統治者としてのリーダーではないと、再確認させられた思いが致します。
いや?マジで、少し、落ち着いて考えてみればですよ?
司馬尚や青歌の住民たちだって、少し確度を変えて鑑みれば、別に戦争に参加しなくたって、自分達の余裕のある範囲でいいので、他に、趙の民を助ける方法もある訳です。
それなのに、何で、青歌の住民達は、イキナリ初対面で出会った李牧に『あなた方は自分達さえよければそれでイイという生き方をしている。』などと、極めて侮辱的な極論を押し付けられなきゃいけないのでしょうか?
落ち着いて考えてみたら、確かにチョット意味が分からないし、青歌の住民らも、煽られた結果とは言え、極めて短絡的すぎると思うんですよ。
そこを差し引いたとしても、実際に、これからの青歌の民にとって、果たして何を目標とすべきかは、李牧の演説一つで、そんなに簡単に決められるものなのか?
住民同士で意見が分かれる事や、代案が模索されるなどの局面も全く無いなど、どうしても、神(作者)様としても、ここはご都合展開とならざるを得なかったであろう点も理解できるのですが、、
それでも、司馬尚もそんな重要で難しい判断を、住民に丸投げすんのは責任不在では?というモヤモヤは残ります。
強いて言えば…、
李牧の言っている事は確かに正論だけれども、彼自身と青歌の住民達が持つ、情報の非対称性については、どう考えてもフェアじゃないよね?
と云うのが、どうにか今回の話の解釈を言語化してみたところ。
いや、やっぱりハッキリ言うわ。
単に、青歌の住民たちが、李牧さんに“ヨイショ”されて作られた“空気”で、何となく参戦を決めてしまったダケの話にも見える。。
この点で、感動的とも言い切れないのかもしれません。
李牧さん? コレを普通、衆愚政治と云うのではないのですか?
この点で、やはりサイの住民&嬴政の関係と比べたら、この点で大きく違うと思うのだ。
嬴政は『自分が住民たちを戦闘へと煽り立てた。』と李信に明確に吐露しているぐらいなので。
李牧のやった事は、戦中の日本と何も変わらんような気がするのは、僕だけか??
ではでは、今週もキングダム本編を振り却っていきたいと思います。。
キングダムネタバレ-“空気”で参戦を決めた青歌
カン・サロが司馬尚にジ・アガ死亡の報告。
一瞬ビビる司馬尚。
司馬尚『そうか、すまぬなカン・サロ。』
カン・サロ『?何故、城主が謝るのです?』
司馬尚『李牧を青歌に招き入れたのは、この俺だ。』
カン・サロ『いえ、ここに来たのは青歌の選択ですよ。』
はい…。
小学校のクラスでもあるまいし、いきなり、唐突な連帯責任を語り出したカン・サロ。
場面は回想に至ります。
李牧との会談に臨む当時の司馬尚。
どうやら青歌への亡命初日での場面でしょうか?
司馬尚『一時の風雨をしのぐ場以上のものを青歌に求めるのであれば、それは難しいと伝えておく。』
ビビる、フテイとカイネ。。
フテ・カイ『え、話が…。』
カン・サロが補足するかのように、李牧らを助けたいのは山々だが、青歌の全てを賭けるほどの危険は冒せないと弁明。
ここから李牧が答えます。
李牧『青果のこれまでの道程は理解しています。』
曰く-、
もともと青歌は流民、難民が集まった町が自治国家の体を取るまでに自助努力を重ねて、大きくなってきた事。
更に、それが単独でオルド軍を撃退できるほどに成長していた事。
そして同時に―、
李牧『青歌は、“青果の道”を定める機に入ったであろうと。』
はい、ここで李牧によって、会話の主導が明確になって行きます。
続けて、李牧を見据える司馬尚…。
李牧『司馬尚、私がココへ来たのは運命だとも思いませんか?貴方の決断を促す…。』
いや、違います。
貴方が都落ちして青歌に来たのは、アナタが担ぎ上げた、やる気だけ王子(嘉太子)と李牧さん自身の政治工作の甘さが原因で、カクカイとの政争に負けただけです。
司馬尚『李牧、私は王でも独裁者でもない、青歌の道は青歌の民に聞け。』
じゃあ、司馬尚さん?
アナタは、一体何のために、ソコに座ってるんですか?
こうして、司馬尚に乗せられて、見渡す限りの青歌の群衆の前に、立つことになる李牧さん。。
こんなん、李牧さんの声が全員に聞こえるワケがないだろう?という物理的なツッコミはさて置いて。。
先ずは、先の大戦で秦に敗れた結果、鄴を奪われ、その後、朝廷での政争に敗れて、邯鄲軍にも追われている身である旨を説明する李牧。
青果の群衆『お労しや…!?』
口々に、李牧の功績と慰労を口にする青歌住民たち。
群衆『北部でもアナタを悪く言う人間は居ない!ここには北の人間も多いです!!』
このように、青歌には李牧とも馴染みの深い、北部地域から来た人間も多く、もともと李牧の事を良く知る人間が多いという事実もここで分かります。
李牧に対して、ここで一緒に住んで欲しい。
大歓迎との意向を我先と表する群衆たち。。
当然、歓迎の言葉に感謝の言葉で応える李牧さんですが…、
当然、ココで話が終わるハズもなく、住民たちの意表を突くような事を宣言し始めます。
李牧さん『そんな言葉を頂けるのは本当にうれしく思います。しかし―、地位も力も失った私が青歌に来た目的は青歌の民になるためではありません。』
青歌の民一同『ファッ?』
李牧さん『青果の皆さんの力を借りて、邯鄲の政権に返り咲き、再び来るであろう大戦のトキに、本命の戦力になってもらいたいからです。』
フテイ『なに!?ちょっと今のは?』
カイネ『り、李牧さま』
直球すぎる宣言に、ビビるフテイとカイネ。
カン・サロとて焦りを隠せません。
司馬尚『……。』
青歌の民一同『ふ、ふざけんな!!』
李牧の言葉で、一気に気持ちを反転さえて怒号で応える青果住民たち…、
さて、ここから一体どうなるのでしょう?
普通に考えて、このように見渡す限りの群衆が同時に怒り出して怒鳴り声を上げたら、最早、李牧サイドの(住民数万:李牧一味数人)の声など絶対に聞こえもせずに、会話など成立しようもありません。
カイネが、必死になって最前列の住民たちに李牧の弁明を施してまおり、カイネの声は群衆全員の声をかき消すほどデカかったのでしょうか?
しかし―、
ピタッww
青歌群衆『…(シーン)』
突然、誰一人と喋らなくなる青歌群衆。
李牧『…放っておけば秦の刃は、雁門にも青果にも届きます。そうさせない為に私と臣下達は戦ってきまた。』
次のページで李牧は普通のテンションで、何事もなかったかのように話を再開し、あれほどブチ切れていたのに、やはり、一瞬で静かになり、何事もなかったかのように傾聴を再開する青歌群衆。
コレは…?
キングダム作中の行間にて、一体、何が起こったのでしょうか??
神(作者)様が描いていないだけで…、
李牧『はーい、皆さんが静かになるまで~。10分も時間がかかりました~~。』みたいな、小学校教諭とその生徒みたいな、局面が李牧と彼らの間に、在ったというのでしょうか?
そして―、
そこから一気に、李牧は仕上げに掛かりますww
やれ、自分が前線に戻らなければ、大勢の民が秦の犠牲になる。
しかし、青歌の建設に多大な苦労をしてきた住民たちに、外の戦争に力を貸させるのは酷である事も承知している。
でも、秦の侵攻の先には、いつか青歌も巻き込まれる。
李牧が語っているのは、それ自体は、至極当然の事実なのですが…、
ここで李牧はその事実に、ここから若干の“煽り”を加えます。
李牧『今、ここに流れる青歌の幸せの刻は、途中にある他人の悲鳴の間に享受されているのです。』
で、ここで―、
『あなた方は自分達さえよければ、他はいいという生き方を選択し続けていくのか?』と問いかけてきます。
なんか、一方的に絶句されている青歌の住民。
いやいや?李牧さん??
貴方、自分で語っていた通り、青歌の住民たちが奮戦して、オルド軍を撃退して、趙の東方戦線全体を守ってくれたのに、その言い草は最早にタダの悪口なんですが…、
何故か、青歌の住民は、誰一人として李牧に対して、反感どころか、違和感の欠片すら抱かないのか、??
余りに従順過ぎて意味が分かりません。(笑)
というか、むしろですよ!
李牧としては『青歌の皆さんが、折角、早期にオルド軍を撃退してくれたにも関わらず、私は鄴防衛戦で王翦に負けてしまいました。大変申し訳ございませんでした。』と、本来は謝罪するべきトコロではないのですか??
もう、青歌の住民って、ここにいるだけで、既に趙全体に十分な貢献を果たしていると思うですが、李牧のこの青果住民に対する、本来持つべきはずの、自己肯定感を否定しに掛かってくる態度って、極度サイコパスレベルで異常です。
繰り返しますが、マジでヤバい男です。。。
こんなん例えば、李牧の奥さんになった女性がいたとしたら、どうなることでしょう?
どんなに丁寧に配偶者としての役割を果たしたとしても、絶対に精神的DVで洗脳されて、自信を喪失させられ自○に追い込まれるに決まってます。
カイネ!早くにげろーーーー!!
そしてですよ??
司馬尚だって、ここは青歌の住民がコケにされているも同然なんですから、普通は怒ってもいいトコロです。
しかし―、
司馬尚としては、どうやら、もともと李牧と考えを共通するところの方が大きかったようです。
楽彰『青歌の道ですか?』
司馬尚『ああ、外を見ずひたすらに自分達の国作りをする時代は過ぎた。この騒乱の世で、青歌が幸福期を享受していくのなら、示さねば。。』
カン・サロ『道を示すのも統治者の役割では?』
ここで、カン・サロが良識的な発言で、司馬尚に問い直しますが、これにはスルーを示す司馬尚。
司馬尚『…。』
いや?司馬尚さん?
あなた、李牧さんの恐ろしいトコロ何も分かっていない。。
李牧さんの趙にとって、恐ろしいトコロが正しくコレなのよ。
秦軍みたく、各地方都市から、少しずつ兵を動員編成して一戦に投じるんじゃなくて…、
李牧さんの問題は、秦軍の侵攻に対して、場当たり的に、その場その場の主要都市の住民を丸ごと戦力に投入するから、一回の敗戦がそのまま主要都市の無力化に繋がっているんだよ。
特に黒羊戦以降、離眼、閼与、平陽(戦闘したのは扈輒)が秦に完全に呑まれたのは、この傾向が得に顕著に現れ出た部分だと私は思う。
狼孟なんて、一度奇襲に使ってからは、今回の番号戦でいきなり、使い捨てになって、飛信隊に征服されてますからね。
李牧さんの口車乗ったせいで、ジ・アガとカン・サロは、李牧さんの言う通り、青歌が主戦力で戦うために、他の都市を犠牲にするやり方を、見事実施させられているのに、なんとも思わないのでしょうか?
で、本編では、ここから一方的に李牧に煽られまくり、挙げく。。
『青歌は何処とも関らず、誰にも尊敬されず、平和のまま静かに虚しく滅んでいけばいい。』とまで罵倒され…、
『門を開いて、命を賭して悲劇を止める戦いに出るのであれば…、青歌の誇りです!!』などと、承認欲求を刺激するような、諭され方を受けます。
その結果。。
青歌の住民たちは『李牧様ーー』
李牧様『ともに勝利を!!』
全員『オオオオオオオオ!!』
うーん??
青歌の人たちが、手にするモノって、結局“誇り”か~~?
いや?
ゴメン、何回も書くけど、青歌の人達って、もう既に十分誇らしい人たちだと思うんだけど、それを、「誇りに出来ない連中」みたいに自己評価を下げて、煽動する。煽動させられてるって、一周まわて哀れに見えるんだけれどな…。
李牧は別に、今回みたいに青歌の人達を下げるんじゃなくて…、
どうせ“空気”で戦争が決まるなら、もうシンプルにですよ?
例えば、もっと、自己肯定爆上げ路線のアゲアゲで…、もっと明るく攻めてもよかったんじゃないのか??
李牧『…あッ♪ いつか邯鄲のカクカイめはッ、迫る来る秦軍に怯えまして、私(李牧)如きの弱輩めを、軍本営に呼戻しまして、武官として再任させるべくトキが来ます。その時、どうか、オルド軍を撃退した青歌の皆様皆様の力を貸していただけないでしょうか?
合唱軍でェ~~、オルドを倒した王翦ッ♪
その、王翦に負け負けましたる、この李牧ゥッ♪
つまりとしましては、この私、李牧めはオルドより弱い事が明白でして、同時に、司馬尚大統領閣下と皆々様のお力は、当然、この李牧めより数段お強く、あの王翦に匹敵されますお力をお持ちで、遊ばされますことは、明白も明白ッww
鄴を取られて実績を残せなかった私は、このフテイ・舜水樹と同列の副三大天(笑)に回りますので。
あくまでも全軍総大将様には、皆々様の大首領である、天下無敵の司馬尚陛下こそが相応しいと私は考えまするが、あ、強くて賢明なる紳士淑女の青歌の皆様に於かれましては、いかがでしょうか?? あッ、いかがでしょうか~~?? 強くて賢明なる紳士淑女の青歌の皆様ッツ はいッ いーち、にーい、さーんしッ、愛ラブ爆笑クリ○ックゥ~~!! あッ、いかがでしょうかッ、あッ、いかがでしょうかァ~~?? 』
ペンペンペンペンぺンぺンぺケぺケぺケぺケぺケ…、
※激しく三味線を弾くカイネ。
フテイ・舜水樹『あッ、いよ~~~~~~~ッ』
※合いの手をいれる、フテイと舜水樹。
ポーン!
※司馬尚の左右で包みを鳴らす馬親子
司馬尚『はァッ!!』
※同時に歌舞伎のポーズをとる司馬尚
青果住民『おっしゃやるぞ! ウオオオオオオオオ!』
うん...。
こうして明るく、嬴政では絶対に出来ないような真似で、趙国が誇るお笑い伝道師、李牧師匠として活躍してくれたほうが、秦軍にとってよっぽど脅威だったに違いない。
- キングダムネタバレ最新791話 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
皆さんの予想やコメントもいただけると嬉しいです。どうぞお気軽に。