( 信、尾到、漂、王騎、蒙驁 作画引用:原泰久先生 作 キングダム第624話 )
李牧が自身の危険を顧みず、信VS龐煖のバトル観戦&解説についてここまで時間をかけているのは何故でしょうか?
漫画だから…。だというと確かにそうですし、身も蓋もない話になってしまうのですが、
それにしたって王翦が「まだ、アイツ脱出してないの?」と言って狙ってくる状態になってまで、身柄の安全確保をしないなんていうのはカナリ異常な事態なのではないかと考えます。
作品上の目的としては、カイネを通じて龐煖と信の戦いの解説を読者へ届けるのが役目であるというのは分かるのですが…、
ホントにそれだけだと王翦におめおめと捕縛されるリスクを冒してまで、李牧が我々読者に対して、危険を顧みない解説を届けてくれているワケなので、なにやら申し訳ないにも程があるだろうって話ですよね。
余計なお世話ってコトはわかるのですが、味方の伝令やら退避の要請やらが、ことごとく耳に入ってもいない様子の李牧とカイネやら他の本陣将校たちを見ると、早く総司令としての仕事に戻ったほうがいいんじゃないのか?などと思えてくるワケです。
しかしながら、いくらなんでも李牧が何の考えもなしに読者への解説サービスの為だけに、敵の田里弥や倉央が違和感を感じるくらいまで退却を遅らせているとは考えにくいです。
ある意味、李牧は龐煖すら犠牲として信という武将を可能な限き分析したいのかもしれません。
コレからの対秦戦争の主要敵となるべき存在として、信を改めて捉えなおすために、リスクを知った上で少しでも退却を遅らせているのではないかとも思えてきます。
ホントなら、信という若い武将をマンツーマンでマークするなら、同世代のフテイあたりがライバルとして成立するハズで、ホントに新三大天になるつもりであるならもっと頑張れよ?って話なのですが…、
李牧としても全く彼に期待が持てないが為か? 秦の若手をマークするといった末端諜報員のような実地検分まで彼自身がならなくてはならないのが悲しいトコロとも言えます。
とは言え、李牧がこんなトコロで死ぬはずがないのはここから先の史実バリアで分かるコトで、かつ、現戦場の描写においても亜花錦隊、段茶軍、玉鳳隊本体という非常に強力なユニットが登場留保になっていることもあるので…、
神(作者)としては、李牧はいつでも逃せるといった構想なのかもしれません。
その上で、李牧に信と龐煖の戦いを見届けさせるのなら、神(作者)はキングダムのこれからの後半戦において、武神亡き後の趙国の対秦戦略へのターニングポイントとして描くつもりなのかもしれません。
12月19日ヤングジャンプ掲載予定、キングダム第626話について予想。
ここから発生可能なネタバレを検証します。
キングダムファンの皆様、今週もよろしくお願いします。
キングダムネタバレ-第625話のおさらい
第625話の予想⇒【キングダムネタバレ625予想 信の勝機と龐煖の弱点】
第625話本編考察⇒【キングダムネタバレ最新625話 矛盾の答え 考察】
ネタバレ検証-逃げない趙本陣
糸凌VSバテイで始まる倉央軍の様子から描かれます。
両者のバトルは互角です。
しかし、軍勢としては倉央が率いる秦軍が優勢なのは明白です。
馬呈が奮戦しても秦軍にとってみれば、強力なバテイを糸凌が止めていてくれているので、秦軍は勢いのまま攻めることができる状況です。
ただ、その圧倒的優勢の中で指揮官の倉央は、李牧がまだ本陣から撤退していないコトにいささか違和感を感じています。
これほどの一方的展開にもかかわらず敵の総大将が脱出していないのは、敵本陣に横から突撃してきた飛信隊が何かしているのかと思案を巡らせつつ、持ち場の戦闘を進めています。
一方、李牧本陣のほぼ真ん前で戦闘を進めている田里弥の目から見れば、李牧の不動の姿勢はなおさら不自然に映っている様子です。
そうこうしているウチに、田里弥の後方からは、馬南慈に急襲された本陣を抜け出してきた王翦が到着します。
なんとか王賁と蒙恬も無事です。
バナージ、フテイの追撃を躱しながら恐らく次の展開を考えていた王翦ですが、田里弥軍に到着すると同時に、飛信隊に横撃された李牧が未だに本陣の中に踏みとどまっていることを確認します。
さらに田里弥の観察から分かることは、何やら李牧が飛信隊に何か気を取られているように見えることが分かります。
王翦にも直接視認される距離に収まる李牧ですが、本陣を引かないにせよ、この時点で同じ場所に立ち止まっているコトで危険性が一気に跳ね上がったコトを意味します。
おそらく王翦は、李牧をここで生け捕りにするということまで戦果として期待したのではないでしょうか?
王翦『ほう…。』
多分つーか絶対に…、何かを狙ってらっしゃる目をなさっていますよね、秦軍総大将。
ネタバレ検証-退避要請を完全スルーの本陣
李牧が信VS龐煖の観戦モードにすっかり没頭しているのはまだいいですわ。
今の信と龐煖の二人のバックボーンを詳しく知り、詳細に解説を語るコトが出来る人間は他に居ないからです。
じゃあ、他の本陣の連中は何しとるんだ? って話なんですが…、どうやら李牧、カイネと一緒になって信VS龐煖の観戦モードに、彼らまで没頭している様子が描かれています。
現場からの退避要請を伝えにきた伝令兵ですが、彼の進言も全く李牧に届いていません。
「カイネ?お前、李牧さま逃がしもしないで何やってんの?」と、伝令将校の言うことももっともなのですが、そのカイネですらスルーです。
上述の本記事冒頭で、李牧はあくまでも退避が必要なほどに倉央軍、田里弥軍の敵兵が迫って来ている状況を分かっていながらも、信VS龐煖の戦いを覚悟しながら見ているだといいのですが…、
この点、単に私の買い被りすぎで、実はこのトキの李牧は何も伝令の退避要請を聞いていなくて知らん間に敵に迫られていた…、あるいは囲まれていたとかだったらあまりにも武将として残念過ぎます。(泣)
カイネまで「私も龐煖、、様の戦いを見ていて伝令の言うこと聞いてませんでした。」とか言い出さないか心配です。
それだったらせめて本陣に居る将校連中が、多少の本営機能ぐらい誰か担ってくれても良さそうなのですが、誰も何の対処を下してくれないあたり現場の将校たちはたまったものではないでしょう。
こんな機能不全な本陣で、誰も戦線放棄せずに真面目に戦っている趙の一般兵はホントに真面目です。
ネタバレ検証-互角以上の信
とは言え、趙本陣の全員が釘付けになるほどの激戦がソコには繰り広げられていました。
登場しては一気に多数の秦兵を葬り去り、怒涛の飛信隊の突撃を完全にストップさせた龐煖が、たった一人の男に互角に応戦されているからです。
その男は当然に飛信隊隊長の信なのですが、その信もついさっきまでは何度も武神の矛の一撃の強さに、大きく体ごと吹き飛ばされていたような状態だったのですが…、
つい先ほどの打ち合いから数合も経たぬ内に、いまでは体を吹き飛ばされることなく、武神龐煖の放つ矛撃に合わせて何度も攻撃で応酬しています。
既に飛信隊の田永や尾平の表情からは、すっかり龐煖が登場したことによる恐怖感が消え去っているようにも見えます。
まぁその分、予想以上に信が善戦するようになったコトに驚いてもいますがね。(笑)
一方、李牧を始めとする趙本陣では、一同、先ほどまで武神の強さを秘密を聞かされてきただけに、信の善戦についてさらに驚きの色を隠せません。
そして、「バカな、どうなっているんだアノ男は…、」などと口にするモブ将校の為に、ここから再び李牧が解説を始めます。
武神に変わって、今度は信の立場から。
曰く―、『アレが龐煖の対極にある力』と解説されます。
同時に、龐煖が理解できぬ力とも解説されます。
振り返ってみれば、この朱海平原の戦闘から遡る17年前に龐煖が王騎に敗れたトキ、
さらに、8年前での馬陽戦でも十弓魏加の力を借りなければ、自分一人では王騎に勝てなかったコトを踏まえても、
李牧に言わせれば、既に17年まえから龐煖は人の武の極み達したうえで、王騎に負けていたのではないかと考えるようになっていました。
“武の極みに在って、なお敗北してしまうような矛盾”
それこそが“龐煖の求めていた答え”であると李牧は結論づけています。
キングダム検証-武神、最初のダウン
ココからの信の放つ一撃は、自分よりも明らかに巨体を誇る龐煖を揺るがし始めます。
いままで真っ向から信の矛を受け止めることが出来たいた龐煖も、信の上段からの一撃で体制を崩すに至ります。
それを目の前で見ていた田永が、信のこの一撃に何か希望を感じたのか?
咄嗟に、「いけェっ、信」と応援の声が出せるような気持ちにまで、味方の雰囲気を変えて見せました。
“力”だけでは簡単にねじ伏せるコトの出来る相手ではなくなっている。
おそらく龐煖はそう感じたのかもしれません。
166話での対王騎にて見せた、見た目として多重残像と思しき矛の乱撃を放つホウケンの攻撃が一斉に信の体を切り刻みます。
格闘技術的には、一見、多重残像によるフェイントを交えた超速攻撃にも見えますが、本編を見る限り、その攻撃の全てが相手の体にダメージを残す実体攻撃であり、非常に恐ろしい技であるコトが分かります。
格闘技術の分類上、るろうに剣心の九頭龍閃に近いものがあるかもしれません。
しかし、よく考えてみると分散した刃の全てが同時の実体攻撃であるだけに一撃ずつのダメージは本来の武神の持つ破壊力ではないコトが分かります。
表面的なダメージであれば、何度でも立ち上がる信。
出血の多さと激しい痛みで、地面に屈する信ですが、その瞬間に僅かな隙を見せた龐煖に、矛では受け止めきれない程の芯を捉えた一閃が彼の頭部を襲います。
ここでついに、初めて武神龐煖が片膝を地に着けます。
李牧曰く―、
『個で、武の結晶となった龐煖とは真逆、関わる人間達の思いを紡いで束にして戦う力。』と信の力を定義します。
そして、龐煖の目に見えたのでしょうか?
信を支える尾到と漂。
王騎に麃公、蒙驁将軍。
かつては敵として戦ってきた成蟜、輪虎、万極の姿が。
キングダムネタバレ-龐煖への本当のトドメ
ネタバレ予想-武神の一番いやなコト。
ここで龐煖がキングダムの物語から退場…。となると、
一応、彼の想いも信はなんとか汲み取ってくれるのか?そうだったらいいのにな。と思う反面で、
今のままだったらホウケンは何にも自分のコトを信に伝えていないから難しいよね…。という結論に辿り着きます。
このように戦後処理に関してまで扱いの難しいヤツだったりすることを考えると、ホントにヤッパリ龐煖は最後まで龐煖なんだなという気がしてきます。
考えてみれば、李牧は信の力を「龐煖が理解できない力」と評価していますが、コレを翻して武神の立場から仮にも理解できたら、たまったものではないでしょう。
生活の全てを武の道の追及に捧げて、他のアリとあらゆるものを切り捨てて生きてきた人間が…、
そんな辛みしかない修行だけの人生でなくて、もっと別の充実した方法で別な同等の“力と強さ”を手に入れられるというコトが証明されたら、
誰だって「今までの人生は何だったの!?」ってショックを受けるしかないでしょう。
今風の言い方をすれば、ホウケンの抵抗はある意味で“リア充死ね”の究極形なのかもしれません。
また、質の悪いカルト宗教やマルチ活動でも、一番苦しいのは“その洗脳から目覚める瞬間”です。
ある意味、一度狂ってしまった人間は死ぬまで現実逃避して狂っている方が楽なのですが、この点、求道者などと言っても、ある種の洗脳された重症患者とどう違うのか気になるトコロです。
そういった意味で考えると、ホウケンの本当の意味での最後って一体なんだろう?などという観点で、信との一騎討ちの顛末を考えた次第です。
ネタバレ検証-何を以って武神を制したと言えるのか?
ぶっちゃけホウケンの最後って単に〝討ち死〟だったとするとなんだか物足りない気がします。
さらに、別な言い方をするとホウケンには〝討ち死〟という言葉を使うコト自体が勿体ないとも言えます。
何故なら〝討ち死〟という言葉は本来は金毛さんのように国を守る武将として戦場に立った人間に対して使うべき言葉で、本来的には名誉の意味も伴った言葉だと思うからです。
信がこの先ホウケンに勝利したとして、ただ単に王騎の矛で切り捨てて、その結果に一人の武神が死んだというだけであったら、なんか誰も浮かばれないというか…。
言い換えれば、多くの人的被害を出した猛獣をなんとか駆除できたみたいな安堵感しか残らないのでは?と心配に思うのです。
もちろん、いまから龐煖に人間的に成長してくれなどとは期待できませんがね、しかし、これじゃホウケンさん?あなた殆ど赤カブトさんと一緒ですよ。
あの名作“流れ星銀牙”のような、自然と動物の脅威に立ち向かった冒険ドラマで終わってしまいます。
六将キョウの死亡から連なる、王騎、麃公の犠牲に繋がる一連の出来事の顛末と、私たちが過ごしてきたキングダム鄴攻め編のこの三年間が…。
重ねて言うと、第622話のラストで、信がホウケンに向かって「お前は何なんだ!?」という形で、ある意味で相手の本質に歩み寄るような問い掛けを発していたのも、このままでは無駄になってしまいます。
【※今現在では武神についての解説が、主人公サイドにまったく伝わっておらず、李牧とカイネ、趙モブ将校の中だけで完結しているだけですからね。】
キングダムネタバレ-ホウケンの最後
そこで、私が予想したのは、ホウケンの最後に期待するのは、肉体的な死よりも、求道者〝武神〟として生きてきた精神(こころ)の死こそが物語としての最適解なのではないかと思うのです。
またあるいは、もう一歩進んで考えれば、過去の羌瘣の解説によって判明した事実のように、子供の頃に別の武神に拉致されて教育を施されたという事例に当てはまるとしたら(参照:149話)、ホウケンは求道者として生きてきたのではなく、強制的に洗脳されて生かされてきたといった方が正しいとも言えます。
このまま龐煖がただ意地になって、「信や王騎の誇る“想いを紡ぐ力”など認めぬ。」と戦い続けたとしても、今の“迷い”と“苛立ち”は消えないでしょう。
寧ろ、李牧が言うように、すでに龐煖が捜していた“答え”はすでに目の前にあって、その対極の力と再び決着を付けるために今までもがいて来たのに、その目の前にある真実に気が付かぬまま、あるいは目を背けたまま死んでしまっては、流石にホウケン自身も可哀想な気もしてきます。
なので、そういったネタバレ予想の方向で、私が考えるホウケンにとっての一番ツライ敗北は、無理に作り上げられた“武神”という幻想を、信の心の芯から見事に叩き折られて戦意喪失するなどといった顛末を予想しました。
もちろん身体的にも王騎の矛によって、再起不能なくらいのダメージを負って欲しいトコロなのですが、それに加えて精神が壊されてしまった結果によって…、
肉体的にも萎んで一気に老化が進み、髪が真っ白になり、口を開けて目も虚ろに“ボケーッと”朱海平原の虚空を眺める姿になり果てる“元武神”なんかが似合っているんじゃないかと思えてくるのです。
キングダムネタバレ-李牧は既に鄴防衛戦の先を見ている?
内心、李牧は戦としては朱海平原戦が詰んだと認めているのかもしれません。
趙王は王翦が言っているように腐っているし、趙季伯まで朱海平原の戦を撤収して戻って来いとか言ってくるし、一番まともな金毛は死亡して、バナージ、フテイの急襲も空振り。
これで李牧が開き直って、もう戦で勝てないんだったら「秦軍に食料が渡らないように、鄴含めて周辺の村と城を焦土作戦にでも巻き込んでやろうかな。」とか考えていたら“闇墜ち李牧”の完成です。
とは言え、そんな李牧にとって計算外のラッキーとして降臨してきたのが武神龐煖でした。
呼び出そうにも、まったくコンタクトが取れなかったところに期せずして出てきた武神を、今の李牧にとっての価値として換算すれば、先ずはコレで飛信隊の信を取れたらどうなるか?という意味で投入の価値があったとも言えます。
あくまでダメ元の外部戦力として投入したホウケンが仮に死んでしまっても、ここから先に李牧は信の実力を六将級と評価し直して、趙防衛線を王都圏に縮めて来るべき司馬尚参入後の趙軍再編成の分析材料としたかもしれません。
何にせよ今現在、李牧は信をかつての王騎同様に、早急に狩るべき武将として改めて認識し直したのだと思われます。
第627話の予想⇒【キングダムネタバレ最新第627話予想 信の決着を貂が促す。】
第626話本篇考察⇒【キングダムネタバレ最新626話 残酷な現実 考察】