(羌瘣 作画引用:原泰久先生 作 キングダム第620話 )
脳へのダメージと頚椎損傷の懸念、そして複雑骨折を伴う左足へのダメージ描写を見れば、羌瘣が今後、剣士として復活できるのかどうかについて考えてみるに、およそ絶望的なほどの深刻な負傷ではないかと思うのです。
いや、仮にそうであったとしても、もう彼女は生きてさえいてくれればそれでよい、と思えるほど武神龐煖を追い詰めたと思えてきます。(その代償に緑穂が…。)
そういえばと言ってはなんですが、『我武神龐煖也』という彼の名乗りも久々です。
我武にとっての唯一のアイディンティティーなのが、そのまんま“武神”であるコトそのモノって話なので、この“名乗り”があればこそ「うんうん、やっぱりいつもの龐煖だよな~。」という気にさせてくれるキメ台詞なワケですが…、
はて??今週のキングダムを読んでみるに、こうやって“我武名乗り”目にしてみても、何故かもう響いてくるものがありません。
むしろ、どっちかつーと、羌瘣さんに圧倒されまくって、イマイチ調子が出てこない勝負に募った苛立ちのために、追い込まれた結果から、なんとか自分を取り戻すためにムリクリひねり出したプレ・パフォーマンス・ルーティーンみたいに見えてきます。
なんとなくですが、登場してから感情に任せるままシャウトするばかりで、武神やら武道家を名乗ってる輩が戦いを前に平常心失ってどうするよ??の状態であった龐煖が、パフォーマンスとしてなのかは別として、“いつもの我武名乗り”をした瞬間から、
これまで完全回避で龐煖の矛を躱して攻撃していた羌瘣が龐煖の刃を緑穂で受ける状態にまで追い込まれ、龐煖の大矛が羌瘣の肩を浅くとらえることが出来るまで追い付います。
まあ、余談ですが、プレ・パフォーマンス・ルーティーンといえば、ラグビーの五郎丸選手やら、野球だとイチロー選手の所作が代表的ですが、いちいち勝負度に興奮しては『ヴォーヴォ―』喚きたてる龐煖を、彼らのような一流アスリートが見ればどう思うか興味深いです。
「あの人なにか“武神”とか“求道者”とか言ってるけど、言葉の意味分かって言ってる?」とか、マジで失笑レベルの評価が引き出せそうな気がするのですがね…。
いやだって、当ブログの読者様から頂いたコメントでも気づかされたのですが、これじゃあもうほとんど桓騎軍のゼノウとか、下手したら連載初期のランカイと全く変わらんレベルの存在意義しかないよ?龐煖。
ゼノウ、オギコを擁する桓騎。
ランカイのご主人様の成蟜。
犬戎王ロゾをヘッポコ作戦で滅亡に追い込んだ舜水樹。
そして我武使いの李牧。
キングダムが誇る4大ポケモンマスターと言えるかもしれません。
スゲー、話が逸れましたが、改めて今週のキングダムを振り返ってみます。
キングダムネタバレ-ホントに最深巫舞でキメてます。
可能なまでの最深レベルの巫舞に自らを堕とすのだろうな、とは、私を含めて多くの読者様が予想していたことだとは思います。
過去に描かれた“魂領の域”のそれとはまた違った描写でしたが、羌瘣と緑穂の認識上で「今までで一番深いところまで。」「命を投げ出すほどに深いところまで。」などと言った様子で描かれており、とにかく過去最深の意識の領域にまで巫舞に自分を没入させている様子が分かります。
今まで真っ黒な深い闇色の瞳で「トーンタンタン」の韻律を唱えるだけの巫舞だったものが、過去最深の巫舞の作用によって、見る間にこれまでとはまた違った身体の変化を羌瘣に与えて行きます。
全身の血管が異常なまでに膨張して、前腕部、首回り、そして眼球などと言った身体部位がまるで合従軍編に登場した韓の将軍 成カイのような全身充血の体を現せています。
先ず、このことから、羌瘣の心臓に想像を絶する負担が発生しているコトが分かります。
後述しますように、「開闢の炎」とか「血が逆巻く」とか羌瘣さんが仰ってますが、この時点で文字通り全身の代謝熱量はハンパないドコロの話ではないでしょう。
馬陽編の開戦前にも羌瘣は緑穂と共に詩(唄)と共に舞っていました…、
古の闇、開闢の炎、汝の眼は何を宿す。
天を裂く白光、地を揺らす鼓動、汝の耳は何を刻む。
人は迷いし土の器。
我は舞う、雷の神。
嗚呼…緑穂、血が逆巻く。
出だしの『古の闇、開闢の炎、汝の眼は何を宿す。』が意味するところは何か?
瞬間的に想起したのはキングダム本編の94話で羌瘣に命を狙われた政が信に語って聞かせた古代蚩尤族の姿、炎に囲まれて剣を神器として待っている巫女の姿です。
或いは神話時代以降の歴代の蚩尤族の中で、原初蚩尤族の姿に最も近い形で人間の潜在能力を最大限引きだせたのは羌瘣なのかもしれません。
『天を裂く白光、地を揺らす鼓動、』とは、今の状況そのものだとは思うのですが、『汝の耳は何を刻む』が何を意味するのか?
単に、音として、大気の振動として何かの情報を心に刻み込むという意味なのか?
もう少し甚深の意味があるのかもしれません。
言い換えれば耳の中へ“スヒン”と響く緑穂の風切り音と共に、文字通りに“何かを刻む”というコトを意味するのか?そして、その対偶とは何か?
『人は迷いし土の器。』
正しく自分が何者なのかさえ見失って迷い、ただ自暴自棄に叫ぶ目の前の人間が龐煖。
それこそ今の羌瘣の域から見れば龐煖は本記事の冒頭の通り、求道者を名乗っていながらも、李牧という他人の介助が無くては自分の歩むべき道も素直に見定めることもできない“迷いし土の器”。
更に言うと“武神”どころかあくまでも“ただの人”に過ぎないと言っているようです。
最後の『我は舞う、雷の神。』の句はどの様に捉えるべきでしょう?
いままで羌瘣やほかの幽蓮や象姉などの蚩尤族は、巫舞のコトを下の方向に向かって“堕とす”とい表現を使っていましたが、ここではむしろその逆で巫舞を最深まで追求したら、実際に龐煖が口にしているように、体に「神を堕とす」と言っているように、上の方から神が自分に向かって降りてくる。
相対的に逆に言えば羌瘣自身は高み方向に、まさしく雷の属性が示すように天の域で舞っているほどのトランス状態といった状況を表現していると捉えることが出来るのではないでしょうか?
この緑穂との対話は読む人ごとの解釈が発生してきそうで、非常に面白い場面だと思えてきます。
キングダムネタバレ-小指喪失は武術者として終わり
山陽攻略戦時の輪虎などは、もともと獲物が一対の片手剣だったのですが、同じ小指、薬指の喪失といっても両手武器を扱っている龐煖にとってみれば、その損失は致命的です。
このことは、野球でバットを振るったコトのある方や、剣道などの武器競技、それこそ格闘技経験者であるならば非常に分かりやすいコトかと思います。
およそ、棒状の武器を手で支点として支えることが出来る指は小指だけだからです。
仮に、単純に中指から親指までの残った指で矛をホールドできたとしても、その状態で足から地面の反作用を伝える筋肉連動を伴った武術的な動きが完全に再現できるかと言えば、ほぼ不可能でしょう。
ココから先の龐煖は、実質的にこの巨大な矛を麃公将軍(龐煖の左腕を鍵固めで折った)と戦った後のように、ほとんど右腕一つでコントロールしなければなりません。
そして、実際に彼女の戦いを間近に見ていた渕さんや田永たちが、「いける!」と手ごたえを感じたのは至極当然のコトでしょう。
龐煖の左手の指を落した直後、巫舞の反動で吐血する羌瘣。
ここで三度、緑穂の命を借りて追撃に躍り出ます。
キングダムネタバレ-ふざけてるのは龐煖の方だろ!?
どんだけ羌瘣に右首筋斬られてんだよ??
僧帽筋とかズタズタになってて右腕もう上げられなくてもよくない?などと考えていたのですが…、
ここは脳内補完として、龐煖のマントに注目しました。
特に首回りが幾重にもマフラーのように重ね巻きになっている様子を見てみると、おそらくライオンのたてがみのような防御力を発揮して羌瘣の斬撃を軽減していたのかもしれません。
ただ、そうは言っても、それなりに出血しているので、首巻部分の内部構造は謎だったりします。
そして、ココからの龐煖ですが、まるで15巻、16巻の対王騎戦を見ているようです。
羌瘣の全力を引き出してから、本気を出す龐煖…。
当時の王騎軍古参兵であった黄楼殿の気持ちはこんな感じだったのかもしれません。(参照:161話)
『ふざけるな!!』と横なぎの一閃で、引き込んだ羌瘣を、受けた緑穂ごと吹き飛ばします。
思えば、彼女が切り結んでから、とうとう完全に受けに立たされて全撃回避が止まった瞬間でした。
フリーザ様の段階変身…、というほどではありませんが、悪く言えばこの強さのムラが龐煖の強みと言えばいいのでしょうか?
カッコいい言い方をすれば手負いになった猛獣は恐ろしい的な強さとも言えるのですが、どっちかというと、龐煖って武道家なんだから、グラップラー刃牙的に考えれば、状況や相手が誰であれいつでも全力で戦えるといった存在でいる事の方が、より洗練された求道者なんじゃないの?と考えるコトも出来ると思います。
本記事の冒頭のとおり『我武宣言』した瞬間から、すっかり本調子の龐煖。
おそらく今回の621話後半のすっかり白目剥いたまま戦っている無我の龐煖こそが、李牧の言う無我の状態、本来の無敵の武神の姿に近いのだと思います。(参照:169話)
ただし、その戦い方はカナリ雑いです。
矛劇の動きが羌瘣に追い付いたとは言え、それでもスピードではまだ羌瘣の方に利があると判断したのか?
矛撃で彼女を捉えるでなく、羌瘣が中空にある間に左足を単純に掴むという動きにでた龐煖。
一見、ランカイと一緒の攻撃方法で雑い攻撃の仕方なのですが、確かに龐煖の体躯を考えたら、対羌瘣戦に於いての最適解だったかも知れません。
そして、膂力に任せて頭上から羌瘣を地面に叩きつけます。
二度目の地面への叩きつけを喰らって、巫舞が解けた羌瘣。三度、武神の頭上に掲げられたときに、渾身の付きで武神の左前腕を刺突します。
矛を手放す龐煖。
『土に還れ、神堕とし』と言い渡し、握撃で羌瘣の左足首を握り潰し、後頭部から直下打撃を彼女に見舞い、緑穂も手放すに至ります。
今は矛を手放した龐煖によって、戦闘不能の彼女にはさらに地面への叩きつけが行われ、合計5回の頭からの逆落としが加えられました…。
羌瘣への深刻な頭蓋、脳内、頚椎ダメージが危ぶまれます。
田有、田永がたまらず騎馬で駆け寄ります。
最後、龐煖が羌瘣の体を地面に叩きつけずに放り投げたのは、おそらく田有たちが駆け寄ってきたからではなく、自分の標的が接近してきたが為。
とうとう信に勝負が委ねられます。
― キングダムネタバレ621話 考察 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
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Twitter:しんいち ダム垢(@takikomigohande)
第621話予想⇒【キングダムネタバレ最新621話 龐煖、真の武神として信と対戦】
第622話予想⇒【キングダムネタバレ最新第622話予想 龐煖は信の心に残らない。】
第622話本編考察⇒【キングダムネタバレ最新622話 龐煖とは 考察】