( 漂 作画引用:原泰久先生 作 キングダム第631話 )
とりあえずキングダム霊界編がスグに収束したのは良かったかなぁ。
率直な気持ちだけを述べると、案外読めた。
最期の『ひょこ』で笑いに走ったのは微妙だったけど、全体でみれば今回のキングダムそれほど悪い話ではなかったと思う。
なんというか、今回の話の為にあの世送りにされたとは思いたくはないが、松左と去亥の顔に免じて、もうこれでキングダムのスピリチュアル批判ももうこれくらいで収束する方向に向かえばいいかな。などと個人的には勝手に留飲を下げています。
部分的に見れば、これは羌瘣と信の精神世界と解釈するのではなく、出てきたのはガチものの漂と松左と去亥の幽霊で、とうとう本編でリアルに登場した本物のワープホールで現世帰還が実現されたり。
まあ、ソコはせめて意識空間でのコトなんだから、それくらいの設定の幅があってもいいじゃないかと割り切ったとしても、
完全に死後の世界方面に振り切った話で、とうとう名実ともに一度死んでも人間が生き返る前例を作ってしまったキングダム。
生者と死者は厳格に峻別されているからこそ、限りある生が輝くんじゃなかったの?だから政が言うように光として受け継がれていくものじゃなかったの?
という、当初の作品の世界観的な部分はさておき…、
そこは神(作者)も当然理解されているとした上で、神(作者)が作風上のリスクを乗り越えてでも描きたかったものは何だったんだろう?と、前回のキングダムネタバレでも予想を頑張ってみたのですが…、
案外、単純に成長した姿で、久々に漂の姿を描いてみたかったとか、もう、そんなくらいのノリだっただけの話なのかもしれません。
うん、こんな考察ブログやってて今さらだけど、確かに下手に深く考えすぎるのも意味ないかも…。
そう思うと、仮にこのような生き返りイベントが、今回限りの話で終わるとしたら、今の原先生の画力で見る漂は確かにカッコ良かったワケでもあるので、長いキングダムの連載歴の中全体で見れば、神回かどうかは人それぞれな評価が残りつつも、レア回であるコトには間違いのない方向で収束していくような気がします。
とは言え、神(作者)あるいはヤンジャン編集陣としても、今回のように歴史上死ぬはずの無いキャラクター(信と羌瘣)を使って、言い換えれば結果の見えてる試合を過剰に演出し過ぎて、ただでさえ遅れている展開を更に遅延させたように受け止められた点には、多少なりとも堪えた部分もあったのではないかと思う。
何故なら、最終的に『ひょこ』っと信を生き返させて、河了貂や田永、尾平に変顔をさせて“笑い”の方向に走って茶を濁してしまったようにも見えるからだ。
呆気なく、死んでしまった去亥に思いがけなく死したタイミングに意味を与えたという意味では、漫画ならではの子気味よさは残った。
それでも全体で見れば、信が一時的に死亡確定した意味合いとしては、むしろ李牧の安全確保のためだけの筋立てについて、2020年スタート時点から始まった今年のキングダムの尺が使われた感が非常に大きい。【※もうこれで1年間の連載の10分の1近くが費やされている…。】
なので、繰り返すようだが最期に神(作者)が、信のリアクションで読者の緊張感を抜きにかかってきた点は、ここらで戦も潮時と表現しようとしているのかもしれない。
キングダムネタバレ-霊的空間の羌瘣
羌瘣が信の名を呼んでも、本人には聞こえない。
どんな表情をしているのか先週から気になっていましたが、目が虚ろ?というか、案外、真顔で“素”の精神状態のような表情の信が、なにやら突然描かれだした階段に向かって歩いています。
信を追いかけようとする羌瘣ですが、上手く体が動きません。
それどころか、自分の体の周囲の地面だけが泥沼のように変化して、いつの間に体が沈みこんでいきます。
信が目前の階段に足をかけて、登っていくことは死を意味すると直感的に理解する羌瘣。
どうやら、先週の羌象が説明していた現象は、この天地の間に滞在するだけで術者の寿命が削れていくというのが答えだったようです。
思わず、『待て!!』と叫ぶ彼女ですが、不意にその時だけは信に羌瘣の声が届きます。
しかし、信が振り向いた先には、真っ暗な闇の空間が広がっているだけです。
羌瘣もどうやら自分の姿は信には見えないコトを否応にも悟ります。
つぎの瞬間、二人の間近に誰かがいる気配が察せられます。
そこには突如として空間に出現した形で漂が立っていました。
漂『よ』
信『あれ?何で?』
っておい!? 信のリアクション薄!?
前回の羌瘣もそうだけど、お前、漂と再会したのにそれかよ?(汗)
曰く、漂は道案内に出てきたとのことです、迷わないようにと。
いつの間にか遠ざかったった階段を指さして、階段に上がれないと、ずっとここで彷徨うコトになると信を諭します。
キングダムネタバレ-漂の水際対応
その時、不意に目配せで羌瘣を覗き込む漂。
明らかに漂は彼女の存在に気が付いています。
羌瘣の周囲には沼化した地面が変わらず纏わりつき、彼女は“命”が吸われ続けているコトを実感します。最悪、自分がこの沼に取り込まれることで自身が亡き者にされる恐怖に打ち勝つように、信を飛信隊の前に連れ帰えようと奮起します。
一方、再開した漂と気楽に話込む信、連れ立って二人はどんどん先に進みます。
しかしながら、何気ない会話に見える最中で、信の言葉尻を取っては何か重要な質問を投げ返す漂が居ます。
信が「二人で鍛えまくったからな」と語れば、漂が「何のために鍛えていたか覚えてるか?」といったように。
羌瘣は二人になんとか追い付こうと頑張りますが、思うようにも動けず、とうとう声も出なくなってきました。
漂が亡くなった先での戦場のコトを話す信。
自分の部隊を持ったことを語れば、再び漂に「なんという名前の隊だ?」と聞かれ完全にそれすら忘れてしまった信。
さらには、「ま、いーや。」などと言い出す始末。
漂に向かって「階段についたぞー」と、もう天国への階段を上る気満々だったりします。
こんだけ漂が足止めしてくれてんのに、まだ忘れるつもりなのか?信??
『ほかに何か話すコトはないか?信』と促され、咄嗟に、秦の王様と出会ってダチになったコトを思い出します。
うん、確かにそれは重要な記憶ですよね。
しかし、漂にさらに、「その王様はどんな顔をしていたのか?」と聞かれたら、ソコから先はもうダメだったりします。
諦めたように「じゃあ、もう行くか、階段が消える前に」と語る漂。
頷きながらも、何か一番デカい忘れ事があるコトを信が語り出し、一瞬、信歩みを止めます。
キングダムネタバレ-信の目覚め
信が思い出すために、どれくらい歩みを止めていたのかは分かりません。
しかし、最期はその一番大きな重要記憶を思い出すのも諦め、階段を足にかけようとした瞬間、不意に信は体が動かなくなっていることに気が付きました。
姿の見えない羌瘣が追い付いて、信を腰から歩くのを阻止していたのです。
信『前に進めないんだけど…。』
力を振り絞うるように、飛信隊の名を叫ぶ羌瘣。
お前の隊の名を忘れるなバカ!とばかりに…。
そして、信の夢は…!?と代わりに叫ぼうとしたトコロ、彼女の姿を捉えていた漂が羌瘣の口を防ぎます。
曰く―『それは自分で思い出さないといけないんだ。』
信『…』
しばらくの沈黙の後。
「わりー漂、まだお前のトコロには行けねーや。」と語りだす信。
信『二人の夢だった、天下の大将軍にまだなってねー!』
漂『ああ、そうだったな』
そこには、我に返った信がいました。
いつの間にか、現世に通じる光の穴が信たちの傍らに出現します。
そこを通れば戻れると。
漂は羌瘣に自分は役割を制限されていたコトを告げ、彼女に感謝を表して消えます。
漂が消えた瞬間、急に羌瘣の姿を視認できるようになった信。
消耗した彼女を支え、不意に羌瘣は信の首に抱き着きます。
キングダムネタバレ-松左と去亥
信を光の穴に押し出す羌瘣。
そのまま力尽きて、自分を溶かす沼に身を委ねます。
そのまま命を溶かされそうになるかと思われた次の瞬間、誰かが自分を沼の淵から引き揚げます。
??『あぶな、あぶなあぶな、間に合った!!』
??『ったく、お前があっちとか言うからだぞ』
??『なはは、お前が居て助かった。』
力尽きて頭を上げる力も無くした羌瘣には、それらの二人が誰だかはスグに理解できませんでした。
先立ったハズの松左と去亥です。
この部分だけを切り取って見たら、そりゃ俺だって感動したよ。
この二人の陰の支えに感謝できないワケが無かろう…。
このまま、自分の命が尽きることを覚悟していた矢先で、思いがけなく自分を救ってくれた二人は、そのまま信を繰り出した光の穴の先に、自分を放りだしてくれました。
『うちらの大将頼んだぞ』と。
現世では信の名を呼び続ける飛信隊一同。
信が光の穴を通った瞬間、見開きで『ひょこ』っと覚醒する信。
その様を間近でみた河了貂の顔芸とコントのオチみたいな飛信隊一同が逆さにズッコケリアクションで今週は幕になります。
神(作者)的には、最期は笑いで上手く纏まったとでも思っているのかな…?
いや、だったとしたら羌瘣一人を何でも屋さんにした挙句、誰も現世で彼女の安否すら気にしていないとか酷じゃないだろうか?
ヤンジャンの煽りも“次回、目覚めた信は?”とかじゃなくて、先に羌瘣を心配してやれよとも思えてくる。
大体、彼女自身が『何でも出来るってワケじゃないぞ。』とか言っていただろうが!
結局、何でもさせてんだろ!
これじゃキョカエモン(羌瘣エモン)じゃねーか!!
やっぱり繰り返すようだが、死なないと分かっているキャラの復活イベントで、只でさえ遅滞している物語が進まず、しかも戦争での緊張感が売りになっていた作品だったのに、それを犠牲にしてでも手に入れたかったのが、李牧逃亡以外に大きな目的があったとも思えない。
そう思えばさらに飛信隊一同による『どわあっ!!』が、作者なりの“戦いターンはこれで終了ですよ”の合図だったとしたら猶更タチが悪いだろう。
最悪、こんなんが今戦の飛信隊の戦いのラストなら、俺たちの鄴攻めの三年間を返せや!とでも言いたくなる…。
それでも漂と松左と去亥のお陰で、意外に上手く纏まってくれたトコロは素直に感動できたとも言える。
そういう意味では来週は、これはこれでいいから、チョットそろそろキングダムを締めた展開に戻して、李牧追撃の顛末やら、桓騎方面の再開フェーズで真面目に作戦や戦略の考察を擁する展開でも追加されればいい感じに戻ると思う。
― キングダムネタバレ632話 予想 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
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