( 童貞の韓非子VS腋臭の姚賈:作画引用元 原泰久先生 作 キングダム第760話)
個人的に、思うに韓非子の功績は、吃音であんまり議論が円滑にできなかった反面で、たくさんの著述を作出して、それを後世に残した部分なのだと思う。
だから、李斯が自分を『実戦派』と言って韓非子と一線を画しているのは、別に誤魔化しではないと思うし…、
韓非子とて、今の時点であれば、これまでの思いや考えて来た思考実験等を、書籍の中に、遺しきった後の状態であるとも言えるのかもしれない。
なので、韓非子。
良い解釈や言い方をすれば…、
法家として、『やるべき事は、全て書作に残してきた。後は、後世の者がどう活かすかだ。俺に悔いはない。』と既に自分の人生に区切りをつけた上で、別の顔を生きているのではないか?と考えることもできやしませんかね??
そうして、法家として全て仕事をやり切った上で…、
最初から、ある種、死期であるとの覚悟を定めて(尭雲や趙我龍みたく)、秦に何かを仕掛けてきているのだったら、それはそれで大したモノだと解釈することも可能だと思う。
そうなると、彼に必要なのは“死に方”だけになるだ。
なんで、こんな事を書いているかと云えば…、
キングダムには、読者が期待していた法家として凄い韓非子の姿は、殆ど描かれておらず…、多分、多くの読者が、この点に肩透かしを喰らっていると思うんですよ…。
かつての韓非子の姿を知る李斯と、この点、読者も気持ちが同じだと思うのです。
多分ですよ?
一番、自分含め、多くの読者が期待したのは『法家として嬴政や李斯とバチバチ遣り合って、秦にアウフヘーベン(止揚)を与える韓非子』だったハズ…。
(※この場合、秦の施策方針が抱える、不備や問題を洗い出し、より高次の段階で統一してやること。)
しかし、結果それが無い。
何もない。
何一つない…。
李信と話盛り上がって、韓非子自身も『秦王にぶつけてやる。』とかいってたのに、本当に何も法家としての具体的内容が無い。
呂不韋が嬴政に宣言した“秦をハブにした経済圏構想”に匹敵する、乱世に対する“具体処方箋”といいますか、多分、そーゆー熱いヤツを期待した読者も多かったと思うんですよ。
何より、彼は実名キャラなので。
(※実名キャラでも、扈輒みたくヘボすぎる戦闘内容で台無しになった例もありますが…。)
例えば、六将制度の運用方法とか、平陽戦での戦後処理、宜安戦の敗北等、韓非子が、秦本営の施策を法律の観点から指摘していく材料など腐るほどあった訳です。
過去の秦の施策を再評価して、起動修正する機会はいくらでもあった事を指摘して…、例えばですよ??
韓非子『秦王、貴方は法治国家としての国の運営を希望されているが、その実、施策判断の基準となる綱領(※いわゆるガイドライン)が無く、結果、全てにおいて王や将軍が恣意的な判断を加えざるを得ない局面が多すぎます…。 例えば平陽の戦後処理ですが…云々…、全く…、この程度の準備でよく法治国家などと云えますなぁ。』とか、
嬴政を議論でガチボコに出来る素材って、韓非子目線で見れば、けっこう揃いまくっているハズなんですよ。
勿論…、
嬴政『き、貴殿の云う通りだ…。法を作る私自身が恣意的な判断をしたばかりに、桓騎の功績と評価を見誤っていた。クッ、すまぬ桓騎…。(泣)』
とか、なったかどうかは分かりません。
昌文君『韓非子殿…、もう議論はやめてくれ! 大王様のヒットポイントは既にゼロじゃ!!』
などと、昌文君がタオルを投げることにもなりませんでしたが…、
いずれにしても…、
キングダムで選ばれた韓非子の姿は、何故か、法家以外の何か別のアルバイトをやっている韓非子の姿になってしまいました。
この点、最早、描かれてだされたモノは仕方がないので、泥仕合の戦に焦点を当てて、予想を進めるしかありません。
そして、韓非子自身は、早々に退場するのは、歴史的に確定しているので、その上で、キングダムのテーマとして、韓非子が嬴政と李斯に何を紡いでいくのか?について予想を進めていきたいと思います。
キングダムネタバレ-姚賈の立場
韓非子の顛末を予想する上で、改めて、そのスタートとして重要なのは、姚賈の立ち位置です。
761話の最後場面を見て、ナレーションの『姚賈は李斯の指揮下で動いているハズだった。』
一見、既に姚賈が既に、李斯を裏切っているいるようにも見える、ナレーションでしたが…、
その後の、762話で、李斯の屋敷に現れた、姚賈の行動や思考が、一貫して、李斯の身辺を危惧する内容であったために、この二つの話の間で、姚賈の立ち位置が、少し分かりづらいものになってきました。
結果的に、姚賈が今現在で危惧している、『韓非子が知る姚賈が何者であるか―。』について、秦に対して何からの諜報活動を展開しているであろう、韓非子の反応や、予想できる行動が変わってくるからです。
予想① 姚賈が白の場合
この点-、
姚賈が秦と李斯に対して、“白”であり、秦の為の間者である点で、一貫しているなら、まだ、事は単純な様に思えます。
姚賈もまた、韓非子の名を知って、その危険性について識る様子が第762話で見て取れます。
姚賈サイドのほうで、『韓の公子である韓非子が、その立場を利用して、何か多国間で諜報活動をしているフシがある。』等の、情報を持っているなら…、
姚賈が李斯の屋敷で複数の間者を発見した事も交えて、姚賈から報告を受けた李斯が対処に動けば済む話になります。
李斯もまた、『韓非子は何しに咸陽に来た?』と既に疑いはじめているので、コレが、結果的に嬴政に対する具申に繋がり、史実通りの投獄という顛末につながると考えられます。
その途中で、李斯と姚賈が咸陽内の捜査を進める中で、紀月が逮捕されて、ユルマン宝朱さんも捕まる流れは避けられないでしょう。
あと、761話でフテイが、気にしていた“李牧の諜報部隊の長”の正体も、実は、韓非子だったとか、そうでないなら、複数ある李牧の諜報ルートの一つを韓非子が担っていた。
韓は、こうした情報の売り買いで、乱世を生き延びていた…。
等々と云った、顛末もあり得るのではないでしょうか??
ただ、こうして予想は予想で進めてみたのですが、、
弱小の韓が諜報活動に必死になるのは分かるのですが…。
なんとなく、秦は秦側で、韓非子の監視がユル過ぎるといいますか??
ここら辺は、韓非子一行の待遇には、李斯は関与していないのでしょうかね。
そりゃ国賓なのは分かりますが、キングダム連載初期でも朱凶とか、暗殺隠密の手練れとか、沢山出てきたワケですから、韓非子一行が余計な事していないか?等、用心に備える手段はそれなりに在ったのではないかとも思えてきます。
こんなん、普通に紀月が屋敷を出た瞬間、始末するとか可能だったでしょう。
うーん?
踏み込んで考えてみると、紀月が秦の監視を捲けるほど手練れの間者なのか??
他にそういう奴がいるのか??
あるいは、今は秦側の監視要員も泳がせているのか??
ここら辺は、予断が膨らみます。
ただし、はい…。
こういった部分含めて、秦は、トップの嬴政から、世話係の宝朱さんまで、揃いも揃って性善説な連中に見えてきます。
昌文君も王翦も、とりあえず北上したら宜安を取れる、趙北部の皆さんは、アッサリと降伏してくれると思ってた辺りもそうですし…。
なんつーか…、
国を挙げての優しい性善説国家って感じですかね。(苦笑)
予想② 姚賈が黒の場合
次に、姚賈が秦を既に裏切っている場合は、多少、事情が複雑になりそうです。
まあ、歴史上、韓非子が投獄喰らう顛末は同じなので、それほど深く考える必要も無いのですが、この場合はどうでしょう?
韓非子が李斯や秦王に…、『姚賈が秦を裏切っていて、実は李牧側の諜報員として、秦の情報を流そうとしている等々。』と、
姚賈としては、韓非子から、姚賈の不利益に繋がる意見を、李斯や嬴政の側に、提示される等の心配をするかもしれません。
ただし—、
そうなると、嬴政や李斯からしてみれば、韓非子に対して『何でお前にそんな事が分かるの?』みたいな、唐突な意見になるのと…、
別に、韓非子からしても見ても、李牧サイドの間者が秦に潜り込んでいるなど当然の話であるので、自分の活動に支障がなければスルーするで構わない…、何のメリットもない行動であると、判断する可能性の方が高いです。
なので…、
個人的には、姚賈が黒であるとの疑念を中心に予想を進めるのは、作品を作る上で、余計な要素が生まれるので、難しいように思えます。
いや…、まあ勿論、他の可能性があるのは分かりますよ。
人間誰しも、人に知られたくない事など、幾らでもあるでしょうし。
姚賈としても、『俺が何者かを知っている。』=“秦を裏切っている”とか、そんな大層な話では無しに…、
単に…、
腋臭(ワキガ)であることを知られたくない。とか…、
包茎であることを知られたくない。とか…、
或いは、ロリコン、マザコン、ババアフェチ、ス○トロ愛好者、等々…、
であることを、知られたくないなどと云った個人的な思惑で、我々、読者の大きな杞憂である可能性だってあります。。
しかしながら―、
いずれにしても確実に言えるのは、姚賈という存在に気付くことが出来た、韓非子本人にいては、結果的に、諜報の世界に身を置く人間であることについて、ほぼ確定的に黒であることが分かります。
そして、問題は―、
姚賈が見抜いた通り、韓非子は諜報の世界に身を置く人間でありながら、間者としてのスキルは身に着けていなかった。
しかも、姚賈が李斯の屋敷に戻るタイミングに居合わせてしまった事が、決定的な墓穴に繋がったという点。
これ等が韓非子にとって、悲劇に作用するのは間違い事実になって来るかと考えられます。
キングダムネタバレ-韓非子から紡がれる“火” オリジナル韓非子全巻セットを秦王と李斯に贈呈!!
うーん??
やっぱりなんか、韓非子がどう死ぬかなど、ソコの部分だけだと、やはり、何かの消化試合をみているような気分が拭えません。
でなんで、予想というか願望も兼ねていますが…、
死ぬ間際でもイイですんで、韓非子が法家として、嬴政や李斯…、ひいては読者に何を問うか?
しかも―、
碩学として韓非子を描くなら、問題提起するだけでなく、一定の方針なり、適解なりを遺させてやるのが、歴史漫画キャラクターとしての供養の仕方だと思うんですよ、マジで。
じゃないと、せっかく韓非子の名前使って作品を描いているのに、キャラクター素材として、台無しじゃないですか??
頼むよ、神(作者)様。
これじゃ、俺の中で、韓非子は学者として既に燃え尽きた後の、童貞のオッサンに成っちまう…。
そう考えると…、
最早、韓非子が、キングダムの作品テーマらしく、何か“思いの火”として残せるのは、“オリジナル韓非子全巻セット”ぐらいしか思いつかない。
寧公主が『韓非子さま何で死んだの!?』がブチ切れながら、“全巻セット”を持って来て、韓非子の亡骸と引き換えに韓に帰っていくとか、そんな感じになるのではないだろうか?
― キングダムネタバレそれ最新763話 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
皆さんの予想やコメントもいただけると嬉しいです。どうぞお気軽に。