( 寿胡王 作画引用:原泰久先生 作 キングダム第660話 )
満羽と千斗雲たちは、自分たちの守りたかった国民に裏切られた…?
うーん、ごめん。
正直、今回のお話、蒙毅なんかは神妙に聞いていたみたいだけれど、正直な感想だけ言わせてもらえれば、そんなに刺さる話でもないかった感じです。
結局はヒョウコウ将軍が語ったような小国淘汰の話の域を出ていませんよね。
まさしく『お前の受けた悲しみなどそこらへんに転がっておるわ。』で片付く話なのではないでしょうか。
まぁ、逆を言えばこの場を仕切っているのはあくまで騰なので、これが騰の良さといえばアリなのかもしれませんが。
ただ、今回の話。正直、これを本人たちが守りたかった者達に裏切られたと言って表現するのはどうなんでしょう?
特に寿虎王も軍略家なのに、大国と相構えることがどういったことなのか全く考えていなかった感じでしょうか?
例えば『何が大軍師じゃ…、春申君、全てにおいて奴のほうが一枚も二枚も上手じゃったわい。』とでも言って、素直に楚の離間策に対処できなかったコトを恥じるとかなら分かるんですよ。
しかしそれを事もあろうに、純粋武力型の満羽、千斗雲、玄右の三人が楚(おそらく当時の春申君)に嵌められたのは致し方ないにせよ、仮にも軍師家を名乗っている彼まで何を一緒になって嵌められて被害者面しているのでしょう。
そして、ホントに寿虎王が語るように、満羽も千斗雲まで『俺は一生懸命戦っていたのに、勝手に降伏した王と国民に裏切られた~。』みたいな心象を得ているのだとしたら、これは完全にお角違いなのではないでしょうか?
ムシロ、事実を額面通りとして受け止めて考えてみたら…、『自分たちが意地なって戦い続けたせいで、降伏して奴隷にさせるよりも国民達を酷い目に合わせてしまった。』と捉えるのが素直な事実認識なんじゃないですかね。
心情的に満羽達が辛いのは理解できるにしても…、一体彼らは何を被害者面しているのでしょう?
この部分に関しては同情できません。
ベキ国が降伏した時点で満羽には戦闘目的がありません。
そこまで国民たちから頼まれて戦っていたとでもいうのでしょうか?
ただの武将の意地で理由なき反抗戦を選んだのは本人達なわけですよね?
でなんで録嗚未が言うように、「満羽たちが国民たちにも煙たがられていた。」ってのはあながち穿った見方でも無いような気がします。
今から言っても仕方ないですが、せめて旧汨国民が楚国の中で少しでもマシな待遇になるように、旧汨国首脳陣と満羽たち軍部が一丸となってカードを揃えて政治闘争を展開するべきだったのが本来的な次善策に繋がったのかもしれません。
もちろん、満羽や千斗雲だけが悪いのではなく、当時の彼らを御しきれなかった当時の旧王朝も力不足だったという話でもあるのですが…。
(※そもそも満羽と違ってベキ国首脳が自国民の待遇まで心配していたとも思えないが。あくまで満羽の立場で考えれば、そのバイアスも踏まえて国王を誘導する必要があったと思える。)
ではでは前置きが長くなりましたが、今週もキングダム本編を振り返っていきたいと思います。
キングダムネタバレ-汨国と暦国
二週間ぶりのキングダム。
蒙武もそろって寿胡王の述懐が始まります。
今を遡ること12年前、満羽は汨国の大将軍、千斗雲はその隣国の暦国の大将軍。
いずれも四方を楚に囲まれた小国でした。
当然、その状況で両国が陥落しなかったのは満羽と千斗雲の存在あったからなのですが…、
両国、両軍とも大国楚の侵略を防ぎ続けていたがために疲弊しきっていました。
満羽が凱旋すると、国民から歓声をもって迎えられますが、その国民も疲れ切っています。
その中で連戦連勝をつづける満羽の存在だけが汨国の精神的支柱になっているようです。
ある日の凱旋の最中、青多なる少年から『やっと十五になった!次の出陣にはぜひとも!!』と声を掛けられる満羽。
『ああ…頼むぞ。』と答える満羽ですが、明らかに今よりも晴れやかな顔をしています。
そして、にぎやかな汨国城下とは一転して、汨国の王宮に満羽は参内しにきました。
『もう限界だ満羽よ。』と語るのは汨国王、袁公。
民草含めてこれ以上、楚に抵抗をつづけるのは無理であるコトを吐露します。
楚に降る意図を明確に表します。
しかし―、
この問いかけに即座に再考を促したのが当時の満羽でした。
その理由は明白で…、
楚の降るコトで民の半分が奴隷化させられる事を憂いての事でした。
事実として、当時の近国であった圭なる国が降ったときに、民の半分が奴隷にされ、殆どの者が財産を没収されたことが分かっています。
『そんなことは絶対に、この満羽がさせませぬ―。』
そう誓う満羽ですが…、
悲しいかな、肝心の王様自身が既に戦意喪失しているのか温度差が甚だしいです。
そして、気になるのは…、
寧ろ思考停止している国王以上に、その隣で何故か血気盛んに降伏論を叫び続ける大臣らしき人物がいますね。
『王はこのまま続けても、この汨に先はないとおっしゃってるのだ!』と、まぁ、これも正論は正論なのですが…、
言ってる内容そのものよりも、顔つきの小物臭が凄まじいことこの上ありません。
いや、マジで。
そして、ここで満羽の側近から、打開案として隣国の猛将 千斗雲が属する暦国との同盟を進言する者もいます。
たしかに普通に考えられる手ですが、そもそも何故、もっと早い段階で手を組んでいないのかが不思議なくらいです。
ただ、そのような妥当案も、ここでこの小物大臣が真っ向から否定してきます。
『ならん!!汨国と暦国は元より仇敵同士、暦国と同盟するなど楚に降るより許せぬわ!!』
って、おいおい小物大臣さんよ? あんた、それ王様が決めることだよね?何を王様よりデカい顔で言い切っちゃってんの??
そもそも外交戦略を放棄しているような連中であるのがココだけでも分かるのですが、汨国は滅ぶべくして滅んでいったのがよく分かりますね…。
ってゆーか? この小物大臣、コイツこそが何よりも春申君の回し者であるコトが明白なんじゃないですかね?
僅か数コマの中で、小国同士の分断と同時に、政治と軍部の分断とばかりにバリバリの政治工作が掛けられているのが丸分かりじゃないですか。(泣)
この時点で、満羽は自分達軍部さえしっかり戦っていれば、どうにかなるとでも思っていたのでしょうか?
どうやら既に、王や大臣、満羽達軍部の信頼関係はガタガタのようです。
しかし、それでも満羽達汨軍は民の為に戦い続けたワケなのですが…。
キングダムネタバレ-悲劇とは?
そうしたある日。
満羽達が遠地で戦闘をしている隙を狙って、汨国が楚に降りました…。
守るべきものを失くして茫然とする満羽。
ここまでは私を含めて、多くの読者が予想した通りだったでしょう。
しかし―、
ここからの彼の行動が、彼の運命を大きく分けました。
国が滅んでも降伏しなかった満羽は、そこから彷徨いながら楚軍と戦闘を継続しました。
茫然としながら戦った彼ですが、それでも尚強かったと述懐される満羽。
何十日か戦いつづけた後に…、彼は、偶然なのか?
はたまたはここまで春申君が仕組んだことなのか??
足元の倒れた楚兵の顔に、見知った少年のそれを目撃します。
かつての凱旋の時に言葉を交わした青多少年です。
満羽達は知らぬうちに、楚に降った汨国民と戦い、知らぬうちに彼らを殲滅していたコトがココで分かったのです。
それまでの人格が決定的に壊れてしまった満羽。
ここを一区切りに、寿胡王の述懐は秦将の各位を前にして、現代に戻ってきます。
まるで絶句するように、騰や録嗚未が寿胡王の話を聞きいています。
蒙毅が『守っていた民達にまで裏切られた…?』と口を開くのですが、
同時に録嗚未もまた『元々、民にも煙たがられてたんじゃないのか?満羽は?』と答えます。
今となっては分かりませんが、寿胡王からしてみると、『大衆の心を騙して操るのは大して難しいことではない。』と非常に印象的なことまで言ってきます。
いや?それって今の日本とかバリバリ他国のロビー活動で印象操作を仕掛けられまくっているよね??
で、それはそうと結局は千斗雲もほぼ同じような顛末を迎えて、満羽と同時期に楚に降伏したコトが寿胡王の口から語られました。
同時に、玄右と寿胡王自身も似たり寄ったりというワケで…。
今回のキングダム660話の核となる部分だったワケですが…、
ただ、ここでの悲劇としての受け止め方はどうなんでしょう?
今回の記事、冒頭でも書いた通り…、楚国の離間策に拠るトコロが悲劇の原因ではあったのは確かですが…、
その反面で、単に満羽も千斗雲も、一旦、本営が陥落した時点で戦闘を止めれば回避できた話ではないかとも思えてきます。
寿胡王的に降伏後に楚に汨の民衆が騙されて操られて満羽たちを襲ったみたいな言い方も、この場合に関してはカナリ微妙です。
普通に考えて、大衆を騙すとかそんなんじゃなくて、一度、楚の降った以上、ソコからは楚の民、楚の兵士として戦わざるを得ないのは当たり前の話だと思います。
でなんで、悲劇は悲劇であるにしても―、
寿胡王が言うように、満羽と千斗雲が、一方的に王と民から裏切られた被害者みたいに描かれても…、
『え?だってそれが戦争でしょ?』で片付いてしまう話なのではないかとさえ思ってしまいます。
それとも何なのでしょうか?
寿胡王にしたって満羽や千斗雲も、ついでに玄右も…、
とりあえず自分達が持ち場で一生懸命に戦ってたら…、いつか事態が好転して、楚が引き上げていくとでも考えていたのでしょうか??
ゴメン、だったとしたら考えが甘すぎますよね。
だったらそれは大将軍とか大軍師の仕事じゃなくて、一般兵士のマインドですよ。(泣)
ん~? ごめん、やっぱり悲劇とかじゃなくて、もっと自責論的に考えたら、単に『自分達が無策だったら負けるべくして負けましたっ!』で片付く話じゃないんですか?コレ。
普通に考えて、録嗚未が言うように、『煙たがられていた。』が等身大に見えてきそうです。
まあ、真実がどうであれ、お前こそ頑張れ満羽としか言えんよ。
キングダムネタバレ-寿胡王お話お疲れ。
春申君に四人が什虎城を任された経緯が語られます。
緒戦で騰が録嗚未に語っていた通りですね。
不落の什虎城の正体も、こうして寿胡王によって解説されたワケですが、同時にそれが陥落したのも、満羽に変化があったからであるコトが語られます。
その変化を生んだのは、紛れもなく蒙武がいたからだと。
同時に、儒家としての経歴を持つと語る寿胡王は、軍師として戦場に出る中で、ただただ『人は愚か』だと結論づけるようになった寿胡王。【※お前が言うな!!と読者は思ったでしょうがw】
最終的に秦将蒙武に直接伝えたかったのは、心が死んだ満羽の悲劇の先に、
人の愚かさの先に、
“何かがある”というコトを願わんばかりであったというコトでした。
その“何か”結末を見届ける役目は秦将である彼らに託して。
満羽の事を語り切った寿胡王は従容として自らの首を跳ねろと首を傾けます。
今週は全部、寿胡王の独演会でしたね。おじいちゃんお疲れ様でした。
― キングダムネタバレ最新660話 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
皆さんの予想やコメントもいただけると嬉しいです。どうぞお気軽に。