(李信:作画引用元 原泰久先生 作 キングダム第759話)
李信が“火”と語りだしたのは、ヒョウ公将軍の影響だとは思いますが、おそらく、今の李信であれば、それは借り物の言葉ではなく、自らの境地に至ったが故の言葉であると考えられます。
もし、ヒョウ公からの借り物の言葉のまんまだったら、非常に困ります。
その意味を問われても、結局、それらの説明まで、ヒョウ公将軍の言葉を借りなくてはならないからです。
李信『―“火”だ。』
韓非子『“火”? で、その意味は何だね? その心は?』
李信『フッ…、簡単だ。“隣のジジイの金玉”という意味だ。』(参照:第289話)
韓非子・一同『!?』
韓非子『き、キミは、ふ、ふざけて、い、いるのか?』
秦韓一同『…(シーン)。』
李信『一度静まった大火、再び“火”を付ける事は至難この上なし、帰国じゃァ!!』(参照:第73話)
うんうん、こうなるとは限らないけど、どっちにしても困る困る。
次回のキングダムでは、李信が何をどう説明し出すのか気になります。
韓非子が、どう受け止め理解するかも、気になりますが、先ずは李信の説明に傾聴してもらうしかありません。
まァ、もちろん史実的には、韓非子が秦に行くのは決まっているので、別に、結果を心配するようなことにはならないでしょうが、キングダム韓非子のキャラクター設定を見れば…、
ホントに韓非子は仕事出来んのか? 別の意味で心配になってきます。
正直、別に李斯の讒言などがなくても、普通に処分されても仕方がないオッサンのようにも見えてくるのは、私だけでしょうか?
だいたい、『環境や状況で人の考えや見え方はコロコロ変わる。』という、李信の言っている前提の話だって、別に、誰が考えても分かる話ですし、『学者は机上で仕事しているから…、』とか関係無いでしょ。
李信も李信で、ちゃんと答えたのですから、韓非子も次回は、秦国側の問いかけに答える番が来ることになります。
さてさて、何を言い出すか、韓非子王子。
ではでは、今回の次回キングダムの予想を進めていきたいと思います。
キングダムネタバレーコミュニケーションがとれない韓非子
大王政⇒光
李信⇒火
まァ、表現系は違いますが、根本的な部分で、相通じる部分があるのだと思います。
冒頭で書いたように、ヒョウ公との絡みもありますから、確かに、李信がそのまんま、大王政みたく“光”などと答えてくるよりも、"火”と答えてくれた方が、彼の言葉らしくてシックリくる思いが致します。
これで、もしも李信が『ヒトは“花”だよッ!』とか、『ヒトは“歌”だよッ!』などと答えていたら、作品崩壊もいいトコロでしょう。
しかしさて?
ここから重要なのは、韓非子の反応と、ソレに対する李信の説明です。
韓非子『火?』
自分の想定している内容と予想外だったために、驚いている韓非子。
まァ、そもそも韓非子の質問自体が、人間社会の在り方を問う上で、ナンセンスというか、“机上”と“現実”の切り分けができていないので、仕方がないのですが…、
李信に『環境や状況で人の考えや見え方はコロコロ変わる。』と、当たり前の事を言われただけなのに、初めて議論が“深い”とか言っているような人物が、一体、今まで何の実績を残してきたと云うのでしょう??
李信は、一方的に問いかけてきた韓非子の相手をしているだけなので、秦側に何か問題があるようには見えないのですが、韓非子は、自分でもよく分っていない質問を他人にぶつけてきただけの話になっているのが分かります。
そもそも、韓非子がおかしいのは、求めている答えの内容自体は、『何か?』という、非常に漠然としたオープンな内容であるのに対して、質問そのものはクローズドな形式を選択している点です。
前回のキングダムでは、介億が李斯から聞いている情報で、韓非子は既に、『性善悪説から脱却している。』との情報が確認されています。
弟子の寧公主も、そのことは当然知っていて、最初から、韓非子は、自分の学者としての真意から、明らかに的を外した質問を、李信にぶつけてきていることが分かります。
“光”か“悪”か? “性善説”か“性悪説”か?
そのどちらでも無いことを、とっくに自分でも気が付いているクセに…、
予め答える内容が二者択一として、“性善説”か“性悪説の、どちらか決まった内容の質問をしている韓非子。
韓非子がキチンと自分の問題を整理できているなら、、
例えば、『…考えてみたけれど、人間は“光”か“悪”か、“性善説”か“性悪説”かで、割り切れる単純なものではないことが分かる、で、李信殿は、その上で、どのように考えるがか聞かせてもらえないだろうか?』などと、
最初から、“性善説”か“性悪説”以外の、“第三の何か”を求める、オープンクエスチョンを李信にぶつければ、円滑なコミュニケーションになると思います。
なんといいますか、韓非子は、学者って割には、なんか“問題提起のやり方“や“質問の仕方“が非常に下手に見えます。
“仮説の立て方を知らない”といったところでしょうか?
もちろん、どんな学問分野であっても、“仮説の立て方を知らない”となると、何も研究できなくなります。
例えば、サイエンス分野の学者だと…、
チンパンジーみたく、手当たり次第に何度も実験を繰り返して、経験値のみで、ようや新事実にたどり着くとか、そんな感じです。
質問や問題の出し方がおかしい、、例えば、これは学習塾のアルバイト等をやった事がある人なら、よく分かると思います。
もっと身近な例で例えると、自分の訊きたい事が訊けていない、“上司に質問するのが下手な部下”も、これと一緒でしょう。
で、韓非子の、“性善説”か“性悪説”か? イエスかノーか? 二者択一で聞かれるコミュニケーション配慮の乏しい、質問に対して…、
李信に『結局、戦争が始まったら、お互いが自分を“正義”と主張しだすんだから意味ねーだろ。断定する、関係無い。』と云った趣旨の事、言われて…、
ようやく、韓非子は『実に興味深い、そういう話が訊きたかった。』とか韓非子は言っている訳です。
という事はですよ…、
いやいや??
最初から、話が整理できていなかったの、お前(韓非子)やん。
何故、李信に諭されてんだ?韓非子??
何を、李信に正しい問題の在り方にまで、誘導してもらってんだ?韓非子??
読者、諸兄の皆さん??
こんな韓非子が、仕事場にいたら、めちゃクチャ困りませんか??
後から入って来た後輩や部下に、こんな奴がいたら…、
『はぁ!?(怒)訊きたい事を明確にしてから、質問しに来い!!』とかって普通に怒りません??
しかも、この人、王宮でソレやってんですよ??
介億『つまり、この質問こそ本命。』
騰『この答えで、韓非子は来朝を決める。』
こういう風に云ってくれている、介億も騰も親切です。
決してその場で、『最初から、そう質問すればいいだろ。』等と、韓非子に冷酷なツッコミを入れずに、顔を立ててやっているのが、大人の上司の余裕を感じさせます。(笑)
そして、なにより、別に秦の外交がどうなろうが、何の責任もない李信なのに…、
不躾で、且つ、自分が訊きたいこと自体分かっていない書生の質問に対して、ワザワザ、本当に訊きたいことにまで誘導してやって、しかも、その答えまで教えてやった李信の親切さ。
しかも、遠路はるばる、金品まで運んできてです…。
もう、十分すぎるだろ。
で、ここから真面目に考えて、李信が“火”と捉えた心は一体何なのか?
李信がヒョウ公将軍と共に従じてきた頃からの、戦の経験然り、火がやがて大火になる現象は、敵味方同士で衝突から生じるもので、その、“火”起こし方、起こした“火”をどう利用するかは、まさしく将軍次第と言える。
韓非子らが“原理”のつもりで語っている、人が“善”か“悪”などと言った話も、結局は、人と人がぶつかり合い、勝者と敗者が分かれた“後の結果で下された評価”でしかないなら、むしろ、“火”を生じさせる“人の動き”や“人と人が衝突し合う”機会をどう管理するか?
戦で云う将軍のような存在が、国の動かし方に於いても、必要なのではないか??
転じて…、
人を善なる存在にしてくれるのも、結果的に悪なる存在にしてしまうのも、王や、王が作る法律次第である…。
…といったトコロが李信の真意なのではないでしょうか。
まぁ、そこまで断言できなくても、第759話までの内容を見ても、今までの韓非子は、“善か悪”を…、
“人の本質であり内面原理”と捉えているのですが、、
この点、李信は逆で、
桓騎の存在を通して、所詮は“善か悪”など、“モノの見え方による、その場限りの外形的な結果”に過ぎないと言ってるわけです。
どう見ても、李信の方が遥かに大人じゃないですか。
だから、韓非子。
李信はキチンと答えたのだから、少なくとも、これで人様の役に立つ、法律の一つや二つを、実務で具体的に答えてやれねーようじゃ、まじで君はダメだと思う。
訊きたい答えが、自分の期待した内容と違ったとしても、少なくとも李信は性善悪説より上の概念を、韓非子よりも先に答えているのだから。
コレって、もう学者としても敗北してんだろが。
あ…、
じゃあ別に、韓非子が秦に行かなくても誰も困んねーか。
キングダムネタバレ-韓非子のリアクションと、これからの運命。
もう秦に行くしかないでしょう。
史実がそうだから、とかではなくて、上記の通り、学者でもなんでもない李信が、同じく将軍に過ぎない録嗚未と問答法をしながら、“正しい設問”(善悪の垣根の無い状態に於ける人の本質。)を導き出して、そこから更に、答え(火)まで教えてもらっているわけです。
韓非子は、『性善悪説から脱却している。』とか言われているのに、それに対して、学者にとっての命と言ってもいい、次の“仮説”を、アカの他人である李信に設定してもらっている時点で…、
最早、関係性で云えば、李信のほうが教授で、韓非子の方が学生になってしまって居るも同然です。
何から何まで、李信のお世話になった訳なので、李信に感謝しろよと私は言いたい。
そして、韓非子の仕事は王宮での法律作りなどでは無い。
自分で机上の学者と認めているんだから、飛信隊に入って(善悪の垣根の無い状態に於ける人の本質)について、戦場でフィールドワークしに行けばイイ。
多分、そっちの方が答えを実感するのにも早いだろ。
ただ、楚水騎馬隊とか崇原直下部隊とかには絶対に入るなよ。
邪魔にしかなんねーから。
尾平隊に入ることをお勧めします。
がんばれ韓非子。
負けるな韓非子。
お前の答えは、飛信隊の戦場で待っている。
― キングダムネタバレそれ最新760話 以上 ―
次回もこの先の展開について、キングダムネタバレ予想をすすめていきたいと思います。
皆さんの予想やコメントもいただけると嬉しいです。どうぞお気軽に。